年齢16歳。身長158cm。体重42kg。それだけ。
私が私であることを示すパラメータ。
それだけが私の全て。
私にはそれだけしか無い。
だから私には何も無かった。私は私の形をなぞることでしか、私の存在を確認できない。その内容(ナカミ)は空っぽのままで。私は嘘のような私を実証する。
だから何でも良かった。誰でも良かった。私は私一人では何者にもなれないから。私に中身を注いでくれる誰かが欲しかった。「悲しい」とすら思えない。その言葉の定義は生まれた時から知っていて、でも私は、私一人ではどうしても表せない。
貴方が望むなら、どんな者にもなりましょう。世界一我儘なお姫様。雨の日に笑う女の子。冷酷非道な魔女だって。傅けと言われれば死ぬまで貴方の下で爛れましょう。
私に私らしさを与えてさえくれるなら。全てが全て、貴方の望む私になる。
それなのに。
貴方は私に何も与えてはくれない。貴方は私の傍に居てくれる。それだけ。貴方は私に何も注ごうとはしない。
貴方の言葉なら、何だって頷くのに。貴方のくれる色なら、どんな色にも染まるのに。
貴方は私に、何も注いではくれない。
私に私を下さい。
「僕には君に君を与えることはできない。僕が与えられるのは僕だけだから」
私はそれが欲しいのです。私の色が欲しいのです。
「それは君の色じゃない。それはどこまでも僕の色だ」
何故ですか。私は貴方のものなのに。貴方がくれた色だけが、私を彩ってくれるのに。
「それは彩色じゃなくて、侵色だ。僕の色で、君を塗り潰してしまうことだ」
私には私の色なんて無いのです。塗り潰される私なんて無いのです。何より、私自身がそれを望んでいるのです。
「君は個性を持っている。どんなに些細でもありきたりでも形式的でも、それは確かに君の個性だ。だから、君の個性を僕が壊してしまう権利なんかどこにも無い」
わかりません。ヒトは、お互いに影響し合って心を育てるモノなのでしょう。どうして、ヒトに与えられるモノが私には与えられないのですか。
「それらは個性を持った人同士の交信だから。どんなに正しい成長でも、それは個性の変化であって、それまでの在り方を壊すことだから。個性を攻撃する権利を持つ者は、個性を攻撃された者だけだから。一方通行の交信は、とても悲しいことだから」
―だから君は先ず、君のカタチを求めている君自身を認めてあげないと。君は一人で生きているんだ。
貴方はそう言って微笑む。私には決して触れずに、少しだけ辛そうな色を浮かべたような。その重みを、大切に、尊く、貴方一人で受け止めるような。
私はヒトリで生きるのだと貴方は言う。ヒトリでなければ、ダレカと触れ合う権利さえ持てないと貴方は言う。けれど私は、たった三つの事柄しかなくて、そんな空っぽな私が嫌で、何でもいいから私が欲しくて。
それでも、「私が欲しいと願った私」こそ。私の尊重するべき「私」なのだと貴方は言う。
結局、何もわからないまま。私はやっぱり私のままで、貴方は私の傍に居る。
貴方はやっぱり何もくれないのだけれど。変わらずに私をずっと見ていてくれる。
貴方に触れたくて、貴方に認められたくて、私は私を求めた。その発端に、その奇跡に惜しみない賛辞をくれる。
いつの日か。純化された欲求は誇るべき私の中身になって。貴方の受け止めた重さを、ほんの少しでも分けて欲しいと思う。
そんな時こそ。胸を張って貴方の色に染まりましょう。
年齢16歳。身長158cm。体重42kg。それだけ。
私が私であることを示すパラメータ。
それだけが私の全て。
私にはそれだけが在る。
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