六道は病院で初めて会った女の子がすごく可愛かったとか、その子が『舞鶴』と呼ばれている事以外何も知らないとか、ぶっちゃけ年齢も知らないけど多分小さいから年下だと思うとか、かなりどうでもいい話が大半だった。さすがに寝かせろと抗議すると、六道は「これで最後にするから」と言って、ほんの少しだけ自分の話をした。
「昔の私の夢は、医者になる事だった。私の家は医学の家系なのだから当然と言えばそれまでなのだが。これでも期待されていたのだぞ?」
「ただ・・・ほんの半年前だ。眼を悪くしたのだ。すぐに家族に相談すればよかったものの、私はそれを家族に隠した。医者の息子が病にかかるなど恥ずかしいと、馬鹿な考えを持っていた」
「今は右目がほとんど見えなくなってしまった。左目もそう遠くない未来、見えなくなるらしい」
―――・・・辛かった?
「当時はさすがに辛かったな。父上にコテンパンに叱られた上、視力は元に戻らないとさじを投げられそんな子は要らんと勘当を言い渡される。泣きっ面に蜂とはまさにこのことだな。おまけにその時の私はメンタルがとにかく弱かった」
―――昔からそんな性格じゃなかったの?
「昔?昔はかなりの凶悪だったぞ。基本的に人を見下していたからな。バスケの授業ではバスケ部部員を打ちのめし、『お前らとは遺伝子からの出来が違うのだよ!残念だったな!』と言って泣かせた経験がある。ついたあだ名は魔王陛下」
―――昔荒れてたんだね・・・・。
「ああ。今戻ろうと思っても戻れないな。そのくせ無駄にプライドは高かったから、勘当されたときはあまりの絶望度合いにショック死するかと思ったよ。と言うよりも、死のうとした。あの時はまだ青かったなぁ。あっはっは」
―――笑い事じゃなくね?
「今となってはいい思い出さ」
「死のうとした私は、個室を抜け出して病院の屋上に向かった。・・・そこで、あの少女に会った」
「夕焼けに向かって歌う彼女は、とても美しかった。あれほど美しい景色を、綺麗な歌声を超えるものは知らない。その瞬間思ったのだ。嗚呼、このまま死んでしまうには勿体無い。とね」
「無理矢理退院した私は、父上と母上に頼んだのだ。『この眼に光があるうちに世界を見せて欲しい』と言ったら、荷物ごと放り出されてしまった。まぁ、まだマンション代を出してもらえるだけマシだな」
―――いや、少しはへこもうよ・・・
「何を言う。今の私にはへこんでいる時間すら勿体無い!」
「それに、人生は何が起きるかわからない。この眼になったおかげで、家を追い出されたおかげでレンとリンに逢えたのではないか」
―――・・・・・・。
「む、いけないもうこんな時間だ。少々はしゃぎすぎてしまったかな」
「ではおやすみ。レン、リン」
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----------------------------
BPM=200→152→200
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----------------------------
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そんな少女漫画のような妄想も...PEARL
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ご意見・ご感想
秋徒
その他
きゃらめる☆アイスさんへ
むしろ友達になってください(即答 返答が遅くなってすみませんm(_ _)m
この回で妹出したかったんですけどねー・・・。結局出せませんでした。もう出す機会がないので今作じゃなしで!←
眼が見えない設定、書こうがどうか投稿直前まで悩みました。幸せになってほしいし・・・。でも、逆境で人は強くなると作者は信じています。痛みを知る事で他者の痛みも理解できるのは人間の特権だと思うんです。そんな想いをこめて書くことにしました。
・・・まぁマオの場合、何があっても心配なさそうですがねw元気の塊みたいな奴ですしwww
それでは、次回もお付き合いくださると嬉しいです!ありがとうございました!
2009/05/30 22:56:17
秋徒
その他
ちょ、何ですかこのマオ賛美…!?皆騙されないで、こいつはただの変態ですよ!
時給310円さんへ
お帰りなさい、友人様(笑 今回も読んでいただきありがとうございます!
マオの設定は前から書きたいと思っていたので、今回書けて良かったです。結構重たい話なだけに伏線とか役立ちそうですしw それにしても、こう見ると優希よりもマオの方が主役っぽi…うわ何をするやめ(R15
ついでにマオの名前の由来は『魔王』→『まお う』→『マオ』でいっか☆なので、最初は本編の中学時代みたいな鬼畜野郎になる予定でしたw 優希がヤンデレたのでギャグ要員に変えましたけど…(^^;)まさに塞翁が馬ですね;
さて、次回はなんとあの〇〇野郎が登場します!〇〇は好きな言葉を入れてくださいww作者のオススメは馬鹿野郎ですw
読んでくださり、ありがとうございました!
虹子さんへ
お久し振りです!最近書かれていないようで心配していました^^
まさか毎度読んでいただいてるとは露知らず…あの、サイン下さ(⊃アイスピック
ちなみにマオは中学時代あんなんだったので友達が少なく、修学旅行含め数々のイベントを「独り楽しすぎるぜー!(;∀;)」の根気で乗りきったのは決して語られることのない裏歴史ですww きっと彼もしたかったのでしょう、恋バナwww
次々回でおそらく最終回なので、よろしければお付き合いください。読んでいただきありがとうございました!m(_ _)m
2009/05/25 23:37:18
時給310円
ご意見・ご感想
マオの初恋の人って……だから、優希でしょ? それ。(あっさりネタバレ)
こんにちは秋徒さん、ようやく帰って来れました。そんで読ませて頂きました。
何と今回は、マオの過去が明らかに! 昔はこんなに嫌な奴だったんですね~(ぉ
しかし、それが今ではこんなに粋でスタイリッシュなナイスガイに! 秋徒さんの話の持って行き方って、いちいちツボにくるんですよね~。『充電』という言葉を何とかしようっていうシーンでも、「ほら、もっと良い呼び方もあるだろう。寧ろ作ろう」って言うじゃないですか。「ここが気に入らない。何とかならないか。むしろ俺が何とかしてやる、今すぐに」ってポジティブな姿勢が、すごく好感が持てるんですよ。不平不満を口にするだけで、何もしない輩が多いこの世の中、マオのような男は一際カッコ良く見えますね! もうファンです、サインくだs(殴
ところがそのマオ、実は失明の危機だとか! うぬぬ、背負うものがでかい……これもヒーローの宿命なのか……。
そんな風に大変優れた設定だからこそ、もうちょっと長く楽しみたかったかなー、という気もしますけどねw 伏線張って、徐々に小出しにして行って、あるときバーンと明らかにすれば、感動の涙まちがいなし! だったのに、もったいない……まあ、それをやると文章量がすごいことになっちゃうんですけどねww
最後にやって来たのは誰なのか? 僕の予想では、「今ごろノコノコ何しに来た」って言ってやりたい相手なんですけど。これは次回のお楽しみということで。
今回もたいへん面白いマオ小説でした!w 次回を楽しみにしています、がんばって下さい!
2009/05/23 13:19:20