ある日僕は小さな小鳥を捕まえました
パッチリとした黒いお目目に、絹の様にさらさらの黒髪の小鳥です

その小鳥はとてもとても可愛くて
僕はお外になんか出したらきっと誰かに攫われてしまうと思いました

僕は小鳥を無くすのは嫌なので
小鳥がお外に出られないように鳥籠に閉じ込めました

これでもう大丈夫だよ?そう声を掛けてあげたら小鳥は泣いて喜んでくれました
きっととても嬉しかったのでしょう
小鳥は幾つも幾つも大粒の涙を流していました

籠に閉じ込めて何日かした頃、小鳥は僕に言いました
『お外に出たい』と
何を言っているのか判らずに僕が黙っていると、小鳥は更に声を張り上げました
『籠から出して』
『お友達に会わせて』
『もう此処に居るのは嫌なの』
『ねぇお願い!外に出してよ!!』
小鳥がそう言った瞬間、僕は思いました

このままにしていたら、いつか小鳥は僕の前から消えてしまう、と

そして次の瞬間、僕は思わず鳥の羽を近くにあったナイフで切ってしまいました
羽を切ったら逃げないと思ったのです

『きゃぁあああああああ!!!!!』

小鳥の甲高い叫びが鼓膜に響きました

小鳥の足元には赤くて暖かい水溜りが出来始めていました

その水溜りはどんどん大きくなって

それと対になるように小鳥の顔はどんどん青褪めていきました

『嫌、嫌、嫌ぁ…っ!誰か助けてぇ…!!』

小鳥の鳴き声は徐々に小さくなっていきます

水溜りが僕の足元に届く頃にはもう聞こえなくなっていました

僕は、小鳥を傷つけてしまったと後悔しながらも喜んでいました

だってこれで小鳥がどこかに行く事など無くなったのですから

可愛い羽が片方無くなってしまいましたがそれぐらい良いのです

この可愛い小鳥が何時までも僕の傍に居てくれるのだから

それぐらいの代償がなくては不思議な位です

すっかり静かになった小鳥は真っ黒な瞳で僕だけを見つめていました…


もうこれで「小鳥」は僕とずっとずっとずっと一緒です

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

小鳥

これこそヤンデレ。

閲覧数:87

投稿日:2011/08/14 09:38:36

文字数:839文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • 日枝学

    日枝学

    ご意見・ご感想

    おおまさにヤンデレな感じを描写出来ている! 作品説明の欄にも書かれていましたが、これこそヤンデレですね。読んでいる時の不安定で歪な印象も、まさにヤンデレといった感じで良かったです。
    描写自体としては、
    >可愛い羽が片方無くなってしまいましたがそれぐらい良いのです
    >それぐらいの代償がなくては不思議な位です
    の二つの文に特に惹かれました。『それぐらい』というキーワードが不安定な気持ちを増長して良かったです。

    2011/08/14 21:15:27

    • 猫山

      猫山

      <キカイショウジョ さん、日枝学 さん
      初めまして
      ご意見・感想ありがとうございますw
      ちょっとやりすぎたかな?・・・っても思ってたんですけどこれを見ていや、これからもヤンデレ突き進んでいこうと思いましたww
      これからも何かありましたら書いていただけると参考になるのでお願いしますw(無理には言いませんのでw;

      2011/08/16 16:38:23

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