階段の上。
命をなくしただの『モノ』へと化した君を見下ろす。
悲しくなかった。憐れみもなかった。羨ましい・・・
人が死んでいるのを間近で見て生まれた感情はそれだけだった。
「羨ましい」
声にだして呟いてみる。
階下にいる君と目が合った。
だが、その目に生気はなく、何を訴えようとしているのか僕にはわからなかった。
もがれ堕ちた肉袋を通して、更なる階下を見据え、思う。
十四からその先を知らずに済むのは、紛れもなく幸運なのだと。
「羨ましいよ。全く。
僕も、十四からその先を知らずに消えてしまいたかったというのに」
自然と僕の瞳から涙が一粒伝った。
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