どうして、なんでこんなことするの、と嗚咽混じりに話す目の前の愛しい彼女。ああ、本当になんて可愛らしいのだろう。涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっても可愛らしい顔を見るたびに背中に甘い痺れが走っていく。そろそろかな、と頭の中で呟いて僕は練りに練った台詞を口にした。

「・・・ごめん、こんなつもりなかったんだ」

眉を寄せて、いかにも悲痛、というような顔で僕は呟く。ああ笑っていないかな、という期待にも似た心配が頭をよぎる。抱きしめようとすると、いやいやと言う様に綺麗な金髪を振り乱して、僕を拒否する。この反応だけは、本当に気に入らなかった。自分でも醜い、と自覚している感情が胸を満たす。強烈な不快感。

「・・・拒絶、お願いだからしないで」

お願いじゃない、これは命令だ、と頭の中で付け加える。再度、抱きしめようと手を伸ばす。そう、こうすば彼女はどんなに悲しくても僕を拒まない。ごめん、愛してる、と僕の本当の気持ちを告げると彼女は必ずこう言うのだ。

「どうして、ねぇどうしてよ。どうして私を愛してくれないの」



彼女は更に深い悲しみへずぶずぶとはまっていく。




どうして?決まってるじゃないか。だって僕は、







悲しんでいる君を見るのが好きなんだ。

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  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

リンドウ

リンドウの花言葉をみて。Sレンくんとそれを許して毎回後悔するおばかなリンちゃん

閲覧数:190

投稿日:2013/01/21 21:03:26

文字数:533文字

カテゴリ:小説

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