コンビニ前、
今日もヨレヨレのシャツ着た
ヤツがやって来る
独り言のようなつばを吐き捨ては
取り出すクシャクシャのＪＰＳ
「おまえまだやめてなかったのかよ」
とかいう意味のないセリフは
「オレはコイツと死ぬ」の前で
灰燼に帰す

「今日はどこまでいくよ」
というヤツの問いかけに対して
「大黒（だいこく）？」
なんてとぼけた調子で適当に返す
あいつは何も言わずにタバコを消しバイクに跨る
夜中の2つのライトが国道を舐めあげる

心臓に語りかけるエンジン音
聞きながら
左前ヤツの背中を追う

交わす言葉は無い
俺達の道
いつもの夜風、感じながら
ロードサイドの光が
ただ揺らめいで、ただ通り過ぎてゆく


「この前パチ屋で五万勝ったから」
なんて理由でヤツがおごる
缶コーヒーをすすりながら
「感心しねえな」って返すSA前自販前
「どうせ次また負けんだろ」
なんて忠告に意味はない
「負けた分勝ちゃいいんだろ」
おう、そうだな...

人柄も仕事も人生観も何一つ被らない
ただ「走る」こと、それだけで続く
くだらない道中二輪栗毛
「おまえのようなヤツも30年後には絶滅危惧種だろ」
「そんときはおまえもだから」
夜更けの峠に飛び込む

カーブする現実にロールしていく
しかし奴の軸は呆れるほどブレない
まったくよぉ

重なりあうことはない
俺達の道
飾り気ないワインディングロードに
トラクションをかける
いつかの情動と
微かな憧憬をふかして

(チャリンコもってんじゃん
なら隣町まで走りに行こうぜ
おまえのチャリ左側にも変速機ついてんじゃん
すげえな)

おまえも老けたけど
根本は変わらないよな

重なりあうことはない
俺達の道
飾り気ないワインディングロードに
トラクションをかける
いつかの情動と
僅かな憧憬をさあ

交わす言葉は無い
俺達の道
いつもの夜風、感じながら
ロードサイドの光が
ただ揺らめいで、ただ通り過ぎてゆく

心の中に、いつも輝いている

ただ揺らめいで、ただ通り過ぎて
It's so groovy...