夕暮れの丘 沈んでゆく太陽を見つめて
朱(あか)色に染まる君が語りだしたコトバ


騒々しい一日が走り去った後 君は一人
町はずれの丘の上で 宵星(ヴィーナス)を仰ぎ ため息をつく 
幾千の窓 開かない席 聞いてくれない聴衆を見下ろして 
今日もまた 孤独な歌劇(オペラ)の幕は上がる

本日、いったいどれだけの
“本当”のセリフを吐いただろう?
傷を隠すことだけが
強さじゃないと知ってるくせに

暮れゆく空に響いた弱虫の独り言
強がることしかできない 鏡の自分からも目を逸らし
昨日と同じ言葉で繰り返したストーリー ストーリー
君は嘘が上手くない


「大丈夫」なんて言葉いったい何度繰り返したの?
まるでオオカミ少年 やがてみな君を振り向かなくなる
黄昏、月明かり、昏(くら)い闇 暮れゆくごとに人は素直になる
だけどもう、誰も家に帰ったあとだ

「ネアカじゃなければ生きていけない」
君がいつかぽつり呟いたこと
狂乱に疲れ果てたら
その重い衣装をいっそ脱ぎ捨てて

月夜の空に飛んでった弱虫の独り言
裸足で薄氷(うすらい)踏むように 夢中で一人踊り明かして
とうに掠れた声でそっと吐き出したストーリー ストーリー
君は嘘が上手くない・・・


いつの間にか身に着けた“強がり”の仮面
素直になれないその笑顔 鏡の自分は泣いている
君が君だけにつぶやく 真実(ほんとう)のコトバ レチタティーヴォ
聞いてないふりをして僕も そっと耳をそばだてた

月影重なる舞台(ステージ)で弱虫のふたり言
陽(ひ)の下(もと)知らんぷりした 鏡の自分と目を合わせ
寂しい夜に響かせた孤独で祈るよな君の詩(うた)
地と空すべての星たちがほら、今 耳を澄ましてる


歌が終わり 君が僕を振り向いて
「ありがとう 本当は聞いてほしかったんだ」
と言って笑った
「これからはもっと大声で歌えるかな」
そう じゃあもう君は大丈夫だね

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

弱虫レチタティーヴォ ~君は嘘が上手くない~

―――――素直になれない 弱虫の独り言

以前投稿した「強がりパストラル」の続編?というかリメイク的作品です。
レチタティーヴォとはオペラとかでセリフを音楽に乗せて演じる曲。登場人物の個人的感情を語ることが多く、そこからこの詩ができました。

“日常”というものは多かれ少なかれ、自分を装う演劇だと思います。本当の自分はかっこ悪いから一人の時にしか見せないけど、時には誰かに聞いてほしいんだよなあ。

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投稿日:2013/08/21 14:51:22

文字数:808文字

カテゴリ:歌詞

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