もぐもぐ。

呼び出されることもないので、レンは適当なものを冷蔵庫から出して食べていた。
どこから食べ物がくるのかは知らない。

(おいしい…おいしい。うんこれはすごくおいしい…)

レンの手にしているのは黄色い果物…バナナだ。
すごくおいしいから、とずっと食べている。
リンにも勧めてみたのだが、

「それよりも、みかんがいい…」

答えはあまり良いものではなかった。

(なんでだろう…こんなにおいしいのに…)

もぐもぐ。

       *

「たっだいまー!」

「あ、リン」

バナナを食べながらレンは玄関に顔を出す。

「何?またバナナ食べてるの?」

「うん。だって好きだし」

「ふーん。あんまり食べるとなくなっちゃうじゃん、ほどほどにしてよ」

そう言いながらも、リンはネットからみかん(最後の一個)を取り出している。
皮の剥き方も慣れたもので、きれいな花型を形作っていた。

「リンに言われたくない…」

「何よー!」

バナナを食べ終わり、レンはリンを置いてキッチンを出た。

       *

そのころ。
リビングでは、またべつの会話がされていた。

「めーちゃん、またお酒呑んでるの?」

「そーよ、好きだもの。悪い?」

「あんまり呑むとまた泣いたり暴れたりするでしょー?」

「…そういうミクはネギばっかり食べてるくせに。最近ネギくさいわよ」

「え!?」

ミクはあわてて腕を鼻の前へ持っていった。

「…くさいの?」

「それが何よりのしょーこよ、しょーこ」

「………?」

ミクは何でかわからない様子で考え込み、

「…あー! ひどい!」

騙されたと気づいた。

「あんまり食べないでよ、料理に使う分がなくなっちゃうじゃない」

「めーちゃんに言われたくないよ!?」

「使わなければいーのよ、作る人の特権」

「う―…」



       *

話は10分ほど前に戻る。

「ちょっとあんた… またアイス食べてるの?風邪ひくわよ」

「え? …僕たちがひくのかなぁ?」

「…………いいの、そんなこと!とにかくやめてよ、どんどん減っていくの」

「やだよ。めーちゃんもお酒呑んでるし」

「それはその…、あ、他の人は呑んでないじゃない!」

「呑めないからだよ!」

「あんたのは他の人が食べたくなる時があるじゃない!」

「なら言ってくれればとっておくよ!」

「あっそ!じゃあ常にとっておきなさいよ!」

「なんでそうなるんだよ!」

それを無視し、メイコは酒を取りにキッチンへと向かった。

       *

そしてミクとの会話後しばらくして、再び酒を取りにキッチンへと向かったメイコに、みかんを一人で食べていたリンがつかまり、

「聞いてよリン…私またやっちゃった…ぐす」

「…(汗)」

「またあいつにイヤな態度とっちゃったのよ!」

「…(汗)」

「うう…もう自分が嫌いよぉ…うううぅ」

(まきこまないで欲しいなぁ…)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

レンとぼかろ家の日常。 2.5

メッセージから食べ物の話を書いてみたくなりました。

閲覧数:124

投稿日:2011/05/10 18:20:02

文字数:1,245文字

カテゴリ:小説

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