語り部のリグレットメッセージ
ようこそいらっしゃいました。ああそうだ、こんなまじないをご存知ですか?願いを書き綴った羊皮紙を小瓶に詰め、海へと流せばいつの日か、願いが叶うそうですよ。このたびお聞かせするのはそんなまじないを信じた少女の物語です。
その少女はまじないを信じて、いつも町外れの小さな港でガラスの小瓶を流していたそうです。
少女の願いを込めたメッセージは、悲しい歌声と共に水平線の彼方へと静かに消えていったそうです。
その少女は以前、悪逆非道の限りを尽くした王女様でした。その「王女」がついに処刑される時、召し使いが身代わりとなって、少女は助かったそうです。
ですが、その別れ際に知らされた真実はあまりに残酷で、少女の心に深く突き刺さっていたのです。
ずっと、わがままを言ってきた召し使いが、双子の弟だったと言うことが。
少女はそのときまで、古ぼけた記憶の中の自身と良く似たいつも隣で笑っていた人物のことを忘れてしまっていたのです。
そして、逃亡者となった少女の目の前で、身代わりとなった弟は処刑されてしまったそうです。
「王女」が処刑された後、国民の生活は変わっていきました。その中で少女は初めて、国の広さと、人々の心を知ったそうです。「王女」であったとき、簡単に踏みにじって来たもの達の価値を。
そして、自身がどれだけ愚かで、弟を困らせ続けていたのか悟ったそうです。
しかし少女には後一つだけどうしてもかなえたい願いがあったそうです。それはもう、決して叶うはずなどない願いだったそうです。
叶うはずなどないと少女は知っていましたが、僅かな望みをかけ、少女はガラスの小瓶を流し続けたそうです。
その小瓶に詰めたものは、涙と、小さな願いと、リグレット。
「もしも生まれ変われるならば・・・」
いかがでしたか?私のお聞かせした物語は。今日のところはここでお開きにしましょう。ああ、そうだ。この物語は、あと一つだけ続きが存在しているのです。次にここに来られた時には、その物語をお聞かせしましょう。帰り道にはどうぞお気をつけて。よければまた、私の物語を聞きにいらして下さい。それではさようなら。
語り部のリグレットメッセージ
語り部シリーズ7作目です。
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