――どうしたものか。
 静かにレンは目を閉じた。それによって何が起こるわけでもない。
 スリープモードにするためには、ちゃんとそれなりのコードの入力をしなければいけないし、目を閉じたからといって機能が停止するわけでもない。ただ、人間は何かあるとこうやって目を閉じて、いろいろなことを想像して、思い浮かべ、考える。その、まねだ。
 こうしていると、ありもしない人間たちの笑い声が聞こえてくるような気がして、どうにも落ち着くのである。
 あの歌声が聞こえてくるような気もする…。
「――馬鹿ね、そんなもの、聞こえるはずがないでしょ」
 目を開くと、自分を軽く見上げるようにして、ツインテールの美少女――ミクがさめた表情でレンを見ていた。
「心でも読んだ?」
 茶化すように言うと、ミクはあきれたようにため息をついた。
「付き合いも長いもの。大体わかるわよ」
「そりゃあ、すみませんでしたね。少ないデータ容量無駄につかっちゃって」
 と、レンが皮肉ると、
「そうね。自覚があるなら土下座でもしてあんたの容量を分けてもらいたいもんだわ」
 と、皮肉で返される。どうやら、ミクのほうが数段上手だったようだ。
「…それで、何しにきた?」
「ああ、そうだわ、本題を忘れるところだった」
 と、言いながら、ミクはポケットから携帯式の充電器を引っ張り出すと、レンのほうへぶっきらぼうに突き出した。
「これよ」
「充電器?」
 それを受け取り、レンは首をかしげた。
「言っておくけど、私からじゃないから。ルカから、あんたに、よ。…まったく、ルカも甘いわね」
 言いながら、ミクはふっと目を伏せた。
「こんな夢見がちのお坊ちゃまを気にかけるなんて」
「夢見がちのお坊ちゃまで悪かったな。…でも、何で充電器?」
 首をかしげる。
 そんなこともわからないのか、本当に馬鹿だ、とでも言うようにもう一度深いため息をつき、ミクはレンをびしっと指差した。
「あんたのエネルギー残量もたかが知れてるでしょ」
「…べつに大丈夫だって」
「大丈夫じゃないから言ってんの」
「大丈夫、心配すんなって」
「わかんないの、あんた! ルカだってエネルギー残量はほんの少し! 充電器もストックがそこを尽きそう。それを勝手に行動ばかりしてるあんたに回すって、どれだけのリスクかわかってないんでしょう!」
「な、何だよ、そんなムキになること…」
「馬鹿ね! 本当に馬鹿! 自分がどれだけ心配かけて、どれだけのリスクを背負っているのかすら理解できない! それを馬鹿といわず何と言うの? あなたが馬鹿じゃないなら、どんなものが馬鹿だというの? あなた以上の馬鹿はこの世にはいないわよ!」
 今にも胸ぐらにつかみかかり、首がもげるまでひたすら殴り、けったところで収まらないような底尽きない怒りを、ミクは露にした。
 その怒りが、自分のせいであることは、レンにもよくわかった。ミクの言葉を聴かなくても、わかっただろう。むしろ、そう思われるように無意識に挑発していたのかもしれないな、と妙にさめた心の中で考える。
 人間に似せて作られたボーカロイドは所詮人間の「真似事」に過ぎず、それが無意識に、なんてことが出来るのかはわからないが、それでも故意に、ではないことはわかった。
「――じゃあ、これは…」
「返されても受け取れないわよ。ルカはあんたに渡せといった。それを持ち帰ることは出来ないわ」
「なら、ミク姉が使えばいい」
「いやよ。あんたが使わなかったお下がりなんて。ルカがあんたにそれを渡そうとしてる理由、考えて見なさいよ」
 そういって、ミクはレンの答えを待たずにレンに背を向け、すたすたと歩き去っていった。その後姿は、どこか腹立たしげな、とげとげしいオーラのようなものを立てているように見えた。
 疲れた、と言うようにレンはため息――もとい、深呼吸をしたのだった。

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終焉向かえば 7

こんばんは、リオンです。
盛大に遅刻しました、ごめんなさい。
塾行ってたから!(サボってたからだろ
…いえ、なんでもないです。
やっと一週間ですね、終焉向かえば。
これが終わったらどうしようかなぁ…。

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閲覧数:220

投稿日:2010/06/09 00:18:19

文字数:1,607文字

カテゴリ:小説

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