紙を一枚ください
ここには幟が立つてゐて
西側から来る車がよく見えない
気を付けてと書いて歩くから
旗竿は地面にしつかり突き刺さり
抜いてみたら深い穴ができてゐた
時代装束の行列が昼寝をしてゐるみたいだ
これから関ヶ原へ行つてみよう
繰り返しても全然飽きないやうな
昔の歌を教へてもらつたよ
百人一首をしながらトランプしてゐた
誰かのことも思ひ出したよ
きしめんのやうな紙が落ちてゐて
短い言葉で何か言へと言ふ
七夕の笹はどこへ流れて行つたのかなあなんて
代りに別のことを考へてみる
水温を計らうよ
ザリガニ捕りをしてゐたら眠つてしまひ
伊勢エビの夢から覚めてみたら
向かう岸に工場の排煙が見えた
昔の小学校の木造校舎の窓からは
猿が紙飛行機を飛ばしてゐた
真夏の入道雲はパンダの模様をしてるから
空に向かつて足を踏み鳴らしてみる
誰かに道を聞かうよ
そしてことづかつてはくれないか
お菓子を買つてきて一万円札を
くづしてもらひ飛行機の切符を用意してくれと
今日は朝から暑かつた
時折り休んでは木の葉の一枚一枚を踏んづけて
渓流をさかのぼつて流れる赤い雲を
一人で見に行つてるから
紙を一枚そして字を書く約束を
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