ルル視点
居ない、ララが居ない…。
何処に?何処に居るんだよ。
アクアは居るのに…。
「…君!…ルル君!ルル君っ!」
誰の声…?確か、ララと仲良くしてた…。
「ほら!起きて!」
ああ、そうだ…キリアって言ったっけ。
ララとかと結構仲良しの…。
「…煩い…」
「よかった!正気に戻ったんだね!」
キリアは僕が起きた事を確認すると僕の頬をつねった。
「い…いひゃい」
「うん!本当に正気だね!」
キリアは僕の頬から手を離した。
「で、なんで…僕は君と居るわけ?」
「う~ん、覚えてないかな?暴走してたし。ルル君、ララちゃんが居ないって叫んで、暴走してたんだよ。お互いの機体を大破してまであたしが助けたんだよ!あたしに感謝しなさい!」
「…はあ…、まあ、有り難う」
どうやら、僕は暴走したらしく、キリアに止めてもらったらしい。そういえば、僕もキリアも傷だらけの様な…。
「僕達の機体って…」
「ああ、ごめん。ちょっとルル君止めるのに必死になって壊しちゃったんだよね~。おかげでどっちの通信機もオシャカになっちゃってるんだよ。まあ、通信機関連はあたしのは少し特殊に作ってもらってたんだけど、それも無理になっちゃってて」
あはは、と笑うキリアは、僕よりも傷が多かった。
僕のせいで、少し無理をさせてしまっただろうか?
「その傷…大丈夫…?」
「ああ、平気平気!…っ!」
キリアは慌てて隠そうとしたが、どうも痛そうだったので、僕は無理矢理聞こうとした。
「…それ、平気じゃないでしょ。多分骨はいくつかいってると思う。というか、それでよく動かせたな…」
「まあ、あたし達。人間に近く作られてても、機械だしね~」
そう言いながらも、キリアは足の骨の折れた人間のように足を痛めている動作をしているのは明らかなのだが。
「…誤魔化そうたって無駄だし。ララだって、それを見たら直ぐに気付く。右足と左腕は明らかにやられてるね。あばらもいくつか折れてるでしょ」
「あはは…あっちゃー、そこまで折れてたか。流石にあばらは気付かなかったよ」
キリアは能天気に笑っている。
どうして、どうして笑っていられるのだろう。
僕のためにこんなにも傷ついて…。
「ごめん、なさい…っ!」
「…なんで?何で、ルル君が、謝るの?」
「だって…僕のっ、せいで…」
僕のせいで、キリアがこんなにも傷ついて、僕が暴走しなければ、ちゃんと、周りを見て判断出来ていれば。
僕がもっと、強かったら…。
周りのみんなに、迷惑かけなくてすんだのに。
「あのね、あたし…さ?ララちゃんを守れなかった事、後悔してるんだ。あの時、ミクさんが消えた時、あたしがあの時、ララちゃんの傍に居られたら、キョウちゃんも、ララちゃんも、何も無かったかもしれない。ううん、もっと言うと…ミクさんの事、クオさんの事にも気付けてたらよかったのかもしれない、あーっ!もう、何だかあたしらしくないな~。だからさ?あたし達は仲間でしょ。仲間だから、助けるのも当然だよっ!」
そう言って、キリアは僕に手を差し伸べた。折れてる筈の左腕は上がるはずも無いので、折れてない右腕で。
「…本当に、有り難う…」
「うん、そうそう。あそこにあたし達の機体があるんだけどさ?実は…」
「?」
キリアは次の瞬間、とんでもないことを言った。
*******************************
ミク視点
「さてと、今日はレコーディングだっけ?」
私は戻ってきて最初の仕事をしようと思い、レコーディング室にきていた。
「はい、今日レコーディングする曲は…」
菜理さんから渡された曲は、どれも私のバースデイソングなどだった。
「そっか…私の誕生日、近いもんね」
「はい。楽師さん達も、ミクさんの誕生日に向けて、色々しているみたいですよ?」
「よかった…」
「?」
「私、必要とされてるんだね」
私は笑顔で言った。
皆から必要とされる存在でありたい。
ずっとずっと…。
「はい。私達は、ボーカロイドや亜種、UTAUは、誰一人かけてはいけないと思ってますよ」
「…有り難う、菜理さん、じゃあ、レコーディングに行きましょうか!」
「はい!」
私は、その日の出撃で、とある事が起こるのだが…その時の私は知る事も無かった。
***************************
「ああ、ミクちょっと、こっちっきてくれますか?カイトが用事があると仰ってまして…」
私は、ユアさんに声をかけられて、執務室へ向かわされました。
其処には妙に笑顔でルンルンなカイト兄さんや、少し怒った様子のメイコ姉さんに、戸惑いを隠せないリンレン、ルカ姉さんに至っては、少し呆れた顔をして居る。
完全にクリプトン型のボーカロイドしか集められていない。
「これって…」
「皆、突然で済まないが…ある戦隊をしてほしいんだ」
カイト兄さんの言葉は、意味不明で、何の前ぶりも無かった。
「…はい?」
ユアさんも呆れた顔をしていた。
「あんた!バカイト!何を考えてるのよ!」
メイコ姉さんなんて怒りを隠しきれてないような…。
「まあまあ、で、何ですか?その戦隊って…」
私はカイト兄さんに尋ねました。メイコ姉さんは「このバカイトの企画なんて変な物ばかりよ…」と嘆いていましたが、まあ、私も知ってるし…。
「ふふ、その企画とは、卑怯戦隊うろたんだーだ!」
「ひきょう…せんたい?」
リンはぽかんとした顔で尋ねる。
「ああそうだ!卑怯戦隊うろたんだー!俺達はどんな汚い事をしてでも戦いに勝つ!卑怯という二文字を掲げて戦う卑怯の戦士だ!」
「「「「「「…馬鹿だ(ですね)」」」」」」
遂にはユアさんまで加わって、6人でその言葉を発していました。
「すみませんーユアさん、これって受理されますか?」
リンは遂にユアさんに助けを求める。
「…私では決めようもないです…」
「…デスヨネー」
ユアさんもリンも諦めた様子でした…。
「卑怯って、いいだろ!な!」
この場で元気なのは、カイト兄さん一人でした。
続く
歌姫戦士ボカロボット35話
カイト兄さん自重しろwwww
ちなみに少し話し飛んでますがイアル君関連は次回ww
次回予告
ルル「…僕達は、ある場所でユアさん達の帰りを待っていた。一方エンジェルボイスターではフィルからのイアルがキリアと僕の居場所を知っているという事で、話し合いが行われていた。ミク達が…その後すぐに戦隊ごっこをやらされると知らずに。次回「彼等は卑怯の戦士」…馬鹿か」
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