はい問題です、今日は何の日でしょうか。
「バレンタインだよ!」
「そうだねバレンタインだね。じゃあ何で俺がチョコ作ってるんですかねリンさん」
「それはね、レンのほうがお菓子とか作るの上手だからだよ!」
「ああ、ソウデスカ…」
カウンター越しに満面の笑顔を振りまくリン。
いつもなら俺を奮い立たせてくれるそれも、今日ばかりは俺を打ちのめす凶器のようだった。
甘ったるい空気を胸いっぱいに吸い込んで、リンが幸せそうなため息を吐く。
まあね、リンが幸せなら俺はそれでいいんだけどね。
好きでもないチョコをちまちま刻んだり湯煎したり、我ながら献身的すぎて泣けてくる。
「えへへっ、リン、レンの作るお菓子だーいすき!」
「はは…そりゃあよかった…」
まあこうして俺がチョコを用意している以上、今年もリンからのチョコはナシってことなんですけど。
そういや俺一回もリンからバレンタインチョコもらったことねーな、ははっ下手したら俺このまま一生チョコ渡す側だったりして。
まあ俺は特別甘い物好きってわけでもないし、こうしてリンが喜んでくれるんなら別に俺が作る担当だって構わない。
第一バレンタインなんてどこぞのおっさんの命日なんだし、女の子から告る日だなんてそんなの製菓メーカーの陰謀でしかないし、でも。
メイコ姉にチョコもらって小躍りしてるカイトの馬鹿面とか見てるとさ、やっぱ俺もほしいなーとか思わないでもないわけだ。
「……リンはさー」
「え?」
我ながら女々しいと思うよ。
でもメイコ姉達からいくつ義理チョコをもらっても、やっぱリンからもらえないんじゃ意味なくて。
たまには俺もイイ思いしたいなーとか、思ったりするのは罪ですか。
「俺にチョコとか。くんないの?」
きょとんと俺を見つめるリン。
あのー、顔に思いっきり想定外って書いてあるんですけど。
やっぱ今年もダメか、なんて心の中でため息を吐いた俺に、リンがうーんと考え込んで。
「あげたいけど、リンはレンみたいに上手に作れないから…これじゃダメ?」
ちょこちょことカウンターを回り込んで俺の正面に立つと、ボウルの中のチョコレートを人差し指でたっぷりすくい上げる。
それを問答無用と言わんばかりに俺の口の中に突っ込んで、そのまま俺に勢いよく抱きついてきたリンは。
「ハッピーバレンタイン、レン!」
頬におまけのキスを一つ落として、にっこりと笑う。
赤い顔を隠そうと悔し紛れに噛みついた唇は、甘ったるいチョコレートの味がした。
Melty Kiss
(110214)
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