「この声が、聞こえるか」
天啓は舞い降りる
乙女は剣を手に
戦場に降り立った
無垢なる手、血に染めて
鼓舞の声、張り上げる
乙女は旗掲げ
戦場を駆け抜ける
捧げるは正義 導くは王座
開かれた活路 軍は突き進む
人々は謳う 「彼の乙女こそ」
「この国を救う唯一の方」と
王は爪噛み、乙女見る
「民の心は王でなく、乙女に集う」
告げるのは、冷たく笑う 黒い影
「ほらご覧、あの姿!」
民衆の冷たい目
可憐なるその声で
神の名を騙る魔女
「忌まわしき、異端者め!」
罵声飛ぶ、大通り
いざ進め
贖いの炎待つ広場まで
仕組まれた審理 悪魔の茶番劇
乙女は無実を訴え叫んだ
神に、王に、民に
けれども言葉は掠れて虚空に解けた
冷めた瞳で王は観る
戦う事に疲れ果て
嘆く乙女のその姿
地に伏し、尚も美しい
かつては聖なる乙女と謳われ
勝利と解放、齎した娘
政治と思惑に翻弄されて
名誉は汚され、自由はもがれた
背筋を伸ばし、空仰ぎ
炎に抱かれ目を閉じる
今際のきわの祈りさえ
不浄の謗り 嗚呼、愚か!
民は歓喜の声上げる
「罪なる魔女に制裁を!」
王は俯き、影嗤う
炎は紅く空焦がし
乙女は灰と 成り果てた
―――――*―――――*―――――*―――――*―――――
このこえが きこえるか
てんけいは まいおりる
◎おとめは けんをてに
せん(じょ)うに おりたった
むくなるて ちにそめて
こぶのこえ はりあげる
◎おとめは はたかかげ
せん(じょ)うを かけぬける
ささげるはせいぎ みちびくはおうざ
ひらかれたかつろ ぐんはつきすすむ
ひとびとはうたう かのおとめこそが
このくにをすくう ゆいいつのかたと
おうはつめかみ おとめみる
たみのこころは おうでなく
おとめにつどう つげるのは
つめたくわらう くろいかげ
ほらごらん あのすがた
みん(しゅ)うの つめたいめ
かれんなる そのこえで
かみのなを かたるま(じょ)
いまわしき いたん(しゃ)め
ばせいとぶ おおどおり
いざすすめ あがないの
ほのおまつ ひろばまで
しくまれたしんり あくまの(ちゃ)ばんげき☆
おとめはむじつを うったえさけんだ
◎かみに◎おうに ◎たみにけれども
ことばはかすれて こくうにほどけた
さめたひとみで おうはみる
たたかうことに つかれはて
なげくおとめの そのすがた
ちにふしなおも うつくしい
かつてはせいなる おとめとうたわれ
(しょ)うりとかいほう もたらしたむすめ
まつりとおもわく にほんろうされて
めいよはけがされ つばさはもがれた
せすじをのばし そらあおぎ
ほのおにだかれ めをとじる
いまわのきわの いのりさえ
ふ(じょ)うのそしり ああおろか
たみはかんきの こえあげる
つみなるま(じょ)に せいさいを
おうはうつむき かげわらう
ほのおはあかく そらこがし
おとめははいと なりはてた
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