私の|人生《これから》
照らす何かはあるだろうか
この隘路を征く灯火は
燐寸擦る
この灯絶やさず進めるか
考えすぎぬよう
足が止まってしまう
軽率にならぬよう
大切なものも燃やしてしまう
私の手にある一箱の燐寸
灯火手に進んでいけ
足元照らし行方を照らし
そうさ燐寸は一本じゃない
吹き消され 濡れて消え 落とし踏まれても
次の一本を擦れ
その光は|燦然《さんぜん》と
私の|人生《これまで》
特筆できる何かはあるだろうか
文字にすれば皆ありふれて
本捲る
落丁乱丁 目につけど
思い上がらぬよう
欠点を認めよう
無闇に卑下せぬよう
少しは自分に誇りを持とう
私の手にある一冊の本
物語手に進んでいけ
過去を振り返り未来を見つめ
そうさ主人公は自分自身
破り捨て 笑われ 書き損じても
次の一行を書け
時に涙が|潸然《さんぜん》としても
人生は一箱の燐寸
人生は落丁の多い本
私の燐寸は湿気っていて
私の本は|疵瑕《しか》だらけ
それでもよかろう
この灯は私だけのもの
この物語は私だけのもの
灯火手に進んでいけ
足元照らし行方を照らし
そうさ燐寸は一本じゃない
吹き消され 濡れて消え 落とし踏まれても
次の一本を擦れ
その光は燦然と
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