（はじめに『カゲロウプロジェクト【二次創作】』1～23話をご覧いただけると更に楽しめます。）


　次の日。

「……あのやろう。さっさと電話を切りやがって」

「どうしたの？　キド」

　キドの苛立った表情にモモは気づいて、尋ねた。

「シンタローから電話があった。なんでもヒビヤを見たんだと。馬鹿らしい。ここにいるってのに……」

「いよいよ時間って訳じゃない？　第二部だ。遂に始まるわけだよ」

「お前はよくもそう呑気でいられるな……」

「……ってなわけで始まるわけだね！」

「楽しそうだなあ、モモ」

「……楽しくないの？」

　キドのクール安定さにモモは少しだけいらついて呟く。

「……楽しくないわけないだろ。ここからが、始まりなんだからな。こんなもん……俺の目じゃない」

　そう言って――キドは立ち上がった。



＊＊


　――ああ、救急車が近づいてくる。

　――また死ぬんだ。

　どうせ、いいじゃないか。

　またリセットされて、僕が眠って、目を覚ませば八月十四日なんだから。

　このループはまるでメビウスの輪のように終わることがないんだから。

　――ところで、さっきから僕の頭を持っているのは、誰？



＊＊


　まだこの夢は終わらないのか、科学者。

　どれほど少年と少女を殺せば気が済むんだ。この『オワラナイセカイ』が消え去るまでか？

　まだ、この夢が終わらないなら。

　八月を超えられないというのなら。

　奇跡を起こしてでも、九月に向かってやる。

　オーバーな妄想戦線で、な。



　――パンザマストが鳴り響く。

　それはどこか、少年の思いを汲んだのか悲しい音楽にも、聞こえるのであった。




つづく。