太陽が登ってくる前の時間。目は開いても足取りはふらふら。とても落ち着きの無い足取りだけれど――大丈夫。動くほどに体が温まって、頭も体も冴え出すだろう。
 部屋を出て冷たい廊下を歩く。足からどんどん体温が奪われていく。外気も思ったより冷たくって、一枚取りに戻ろうかと思ったけれど、やめにした。私は急ぐ。
 音のあまり鳴らない勝手間の戸口に向かう。玄関は駄目だ。引き戸のきしむ音で、誰かの目を覚ましてしまってはいけない。
 勝手間の戸口を開けると、外は真っ白。だけれど、太陽はまだ昇りきらなくって、薄暗い。まるで灰が降っているよう。
 朝もやがすべての風景を変えてしまっている。いつもの庭も、家の周りの木々も、すべてがぼんやりとした輪郭のまま浮かび上がっている。
 勝手間から玄関にまわると、まもなく太陽の光が私の家にも射すようになった。ほんのさっきまで灰だったものが、木々の吐き出した白い息のように見える。
 遠くからやってくる光が、すべてを変えてゆく。すべてを夜から朝へと変えていく。朝もやの頃は、ため息すらも朝のよう。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

朝もやの頃は

2010年1月17日、習作。さくさく書けたはいいが短くなってしまった、難点。詩的な感覚で書きました。書いてる間は面白いのですが、いざ出すとなると質が伴わないと、山なし落ちなし意味なしになると言う諸刃の剣。

何がしかご意見いただけると幸いです。失敬。

閲覧数:47

投稿日:2010/01/17 21:38:30

文字数:461文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました