【二次創作】翻案・陽だまりの咲く場所【脚本風】

投稿日:2011/06/28 17:52:50 | 文字数:4,486文字 | 閲覧数:66 | カテゴリ:小説

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この作品は、novvhere様の楽曲『陽だまりの咲く場所』(http://www.nicovideo.jp/watch/nm7753952)をもとにした二次創作です。

原曲『陽だまりの咲く場所』
作詞:novvhere
作曲:novvhere
編曲:novvhere
唄:MEIKO



『翻案・陽だまりの咲く場所』日枝学


◯学校の帰り道(三時半)
  学校の帰り道、桜は病院に向かって歩いている。
  桜の携帯電話が鳴る。携帯電話のディスプレイには姉と書いてある。
桜「もしもしお姉ちゃん? どうしたの」
姉「桜、今から春也くんの所行く?」
桜「うん、そうだよ」
姉「よしちょうどいい。私も付いていくから駅前で待ち合わせないか」
桜「え、お姉ちゃんがついてくるって、どうしたの? 珍しい」
姉「いやあ特に理由は無いんだがな。ちょっと勉強に行き詰まったからたまには付いて行こうかなって」
桜「ははは、分かった。それじゃ駅で待ってるよ」
姉「ありがとう。よし、そんじゃ後でね」
桜「はーい、それじゃ」
  桜、電話を切って鞄に入れる。

◯病院・春也の病室(四時)
  病室の扉が開かれ、桜と姉が入ってくる。
桜「春也、今日も来たよー」
姉「おーい春也君、久しぶり」
  ベッドに横たわる春也、上体を起こして桜たちの方を向く。
春也「おーす、いつもありがとう。お姉さんも久しぶりです」
姉「聞いてくれよ春也君、最近君のおかげで桜が浮かれっぱなしなのだが」
桜「お、お姉ちゃんいきなり何を……」
春也「ははは、それは僕としては嬉しいものです」
姉「お、良い反応だな。良かったな桜ー。嬉しいそうだぞ」
桜「お姉ちゃん~」
春也「まあとりあえず立ってないで座りなよ。そこに椅子あるからさ。お姉さんも座ってください」
  春也、そう言って椅子のある場所を指差す。
姉「お、気がきくねえ。ありがとう」
  姉と桜、椅子に座る。
桜「あ、そうだ」
春也「うん? どうした桜?」
桜「春也くん、明日の誕生日、何かして欲しいことある?」
春也「して欲しいこと? プレゼントじゃなくて?」
桜「うん、プレゼントはもう用意してるからさ。他にして欲しいことは何かあるかなあって」
春也「して欲しいことか、うーん」
姉「春也君、遠慮しなくて良いんだからな。桜には無理難題をふっかけるぐらいの気持ちで扱ってやれ」
春也「ははは、本当ですか? うーん、けどして欲しいことかあ。桜にはもう色んなことをしてもらってるから、中々思いつかないなあ。まあ思いついたら言うよ」
桜「うん、分かった」

◯病院・春也の病室(五時)
  桜の姉、時計を見る。
姉「おっと、もうこんな時間か。桜、春也、私今から塾あるからそっち行ってくるよ」
桜「あ、はあい分かった。それじゃ、お姉ちゃん、勉強頑張ってね」
春也「お姉さん、来てくれてありがとうございました」
姉「はーいどういたしまして。そんじゃ、またねー」
  姉、病室を出る。
春也「あ、そうだ」
桜「うん? どうしたの」
春也「いや、明日して欲しいこと、今思いついたんだけど」
桜「お、なあに」
春也「桜の学校の友人、連れてきて欲しいんだ」
桜「え、学校の、友人……?」
春也「うん。よく桜、学校のこと話してくれるだろ? もし良ければ、その学校の人にも合ってみたいなって思って」
桜「あ、ああなるほど。そっか、学校の人か」
春也「大丈夫? もし大丈夫だったらで――」
桜「う、うん、大丈夫だよ。じゃあ明日、学校の友達連れてくるね」
春也「あ、うん、ありがとう」

◯病院からの帰り道
桜(学校の友人かあ……)
桜(どうしよっかな。学校の友人なんて、ほんとはいないのに……)
桜(どうしよう……)

◯翌日の学校・教室(HR・三時半)
担任「はい、他に連絡ないかー。連絡なければ今日はこれで終わるけど――お、桜さん、どうしましたか?」
  桜、席から立ち上がる。俯きながら話す。
桜「あのー、もし良ければ誰かお見舞いに、ついてきてくれませんか……。私、今から、ずっと病院で入院している友人に会いに行くんです。それで、友人が学校の人を見てみたいって言ってたから、それで、あの……」
  クラスメイトは興味なさそうにしている。一部の生徒が私語を始める。
生徒一「あーどうでもいいから早く終わってほしいよね」
生徒二「だよね。第一、何でこんなところでそんなことお願いしてんだよ。あいつ友人いないの」
生徒一「いやまあ確かに友人いないよね、あの子」
生徒二「というか、学校来たの何時ぶりだ? あの子ずっといなかったよね」
  段々と、私語が多くなっていき、ざわつき始める。
桜「あ、あの……、以上……です……」
  桜、ふらふらと席に座る。
担任「……じゃあ、他に連絡のある人は……いなそうだな。それじゃ起立」
  生徒、席を立ち上がる。
担任「気をつけ、さようなら」
生徒「さようなら」
  生徒、挨拶を終えてそれぞれ友人と話したり、帰ったりする。
  その中で桜、一人ただずむ。
  桜に話しかける生徒はいない。

◯病院・春也の病室
  病室の扉が開かれ、桜が入ってくる。
春也「やあ桜、来てくれてありが……って、桜どうした? 大丈夫?」
  春也、ベッドから上体を起こす。
  桜の頬には涙が伝っている。
桜「……春也」
  桜、春也のベッドに頭を埋める。
桜「春也……ごめん……。春也……」
春也「ごめんって、桜、どうした? 何かあったのか?」
桜「ごめん、春也……。今まで私が話した学校の話、ほとんど嘘なんだ。学校楽しくやってるなんて、嘘なんだ。一緒に喋って、一緒に遊べるような友人、いないんだ……」
  春也、静かに桜の頭の上に手を置いて、撫でる。
  そのまま春也は黙って桜の話を聞く。
桜「私、本当はずっと保健室登校で、クラスのことなんて何も知らなくて、なのに春也にはそんなの知られたくなかったから嘘ついて、毎日クラスの皆と仲良くやってるなんて嘘ついて、それから……」
春也「もしかして、昨日僕が言ったこと叶えようとして、無理して教室行ってくれたの?」
桜「……うん、ごめん、無理だった」
  春也、ため息をつく。
春也「そんなこと、無視すれば良かったのに。そういうのもありかな、って程度の頼みごとだったんだから、桜が断ったって、何も問題なかったんだよ?」
桜「でも、断ったら今まで話したこと嘘だって、バレちゃうかもしれなかったんだよ」
春也「僕は気にしないよ。桜が保健室登校であろうが何であろうが、僕にとって桜は、かけがえの無い存在だし、そのことは変わらないんだから」
桜「春也……ごめん……」
春也「謝る必要なんてないんだよ。むしろ僕は桜のことを感謝してるよ。これで桜のこと、前よりも少しだけ多く、知ることが出来たんだから」
桜「春也……」
春也「だから、ありがとう。桜」

◯翌日、病院・春也の病室(昼)
  病室には桜の姉と春也がいる。
  いつも通り、姉は椅子に座り、春也はベッドの上で上体を起こしている。
姉「そういうわけで、だ」
春也「はい」
姉「あの妹は昨日、あの事で頭がいっぱいになっていて、お前に誕生日プレゼントを渡し忘れていたそうだ」
春也「なるほど」
姉「それで、そのことを伝えといて欲しいということで、大学のセンター試験間近の私に学校を休ませて、ここに来させたわけだ。桜は」
春也「いやあ何というか、桜らしいですね」
姉「だろう? 以上、伝えといてくれと頼まれた内容でした」
春也「分かりやすい説明、ありがとうございました。というか今更ですけど、お姉さん、学校休んで良かったんですか?」
姉「あまりよろしくない」
春也「ははは、ですよね。あ、そうだ。せっかくだからこれでも食べてって下さい」
  春也、ベッドのすぐ近くにある冷蔵庫を開ける。
  その冷蔵庫からケーキを取り出して姉に渡す。
姉「お、ありがとう。このケーキは一体?」
春也「昨日の夜両親が来て、あの二人に食べてもらいなさいとのことです。うちの親、お菓子作るの趣味みたいなので」
姉「おおお、お菓子作りが趣味の親とかいいな。ありがたく食べさせて頂きます」
春也「はい、どうぞ」
  姉、ケーキを食べ始める。
  ケーキを食べている姉に、春也が言葉をかける。
春也「お姉さん、僕は、本当にお二人には感謝しているんです」
姉「ん? と言いますと」
春也「僕、今までお二人に出会うまで、ずっと悩んでいたんです。何のために、僕は人より早く死ぬんだろう、って」
姉「へえ……」
春也「でも、お二人に会って、一緒に話すようになって、何だかすごく楽になったんです。例えるならば、暗くて寒い闇の中で、温かな陽だまりを見つけたかのようでした」
  姉、ケーキを食べる手を止めて耳を傾ける。
春也「それから気付いたんです。何のために僕が人より早く死ぬかとかいう解答にはなっていませんけれど、僕が今やりたいのは、僕がお二人にとって陽だまりになることなんだ、って。僕にとってのお二人のように、僕がお二人にとっての陽だまりになれたらいいなって思ったんです。そうやって、自分のやりたいことに気づけたことは、僕にとって、とても嬉しいことでした。だから、お二人には本当に、本当に、感謝しています」
姉「……もう充分、春也君は私達にとっての陽だまりになれているよ」
春也「ははは、ありがとうございます。あ、そうだ。それと……」
姉「それと?」
春也「明日もし、僕が死んだとしても、それはとても自然な、とても自然な事だから、何も心配しないでくださいね」
姉「保証は出来無い」
春也「ははは、構いません。けれど覚えておいてください、僕は、お二人がいる限り、永遠なんです」
姉「……ああ、覚えておこう」
春也「ありがとうございます」
  春也、窓の外の景色に目をやる。
  姉、残ったケーキを食べる。
姉「ごちそうさま。すごく美味しかったよ」
春也「ありがとうございます。伝えておきますね」
姉「ああ、よろしく。それじゃ、私は学校に戻るよ。四時頃には桜が来ると思うから、あいつからの誕生日プレゼント、期待しとけよ」
春也「はい、楽しみにしときます」
  姉、荷物を持って椅子から立ち上がる。
姉「それじゃ、またね」
春也「はい、また」
  姉、部屋から去る。
  残された春也は、横になって微笑みを浮かべる。




※あとがき
脚本形式二回目。ちょっと話の展開がだれるなあ。
こういう話は書くのが苦手分野なのだが、挑戦しないといつまでも書けるようにならないと思い、実践。
難しい! うーん……。三層構成も出来ていないし、今後の課題が一つ増えた。
この曲好きだし、歌詞も好きだし、あとMEIKO姉さんがハイパーかわいすぎるので(※おい)、じれったいところ。
うわあああああ頑張って話作る技術上達しよう。

なにかの素材になればいいな、っていうテキストと、好きな作品をモチーフにした掌編小説を投稿できればいいなって思ってます(2013.12.25)

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作品へのコメント1

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    ご意見・感想

    今晩は! 早速拝読させて頂きました。

    脚本形式なんですね。とても読みやすかったです。そして前情報として”MEIKOさんの曲”である事を頭に入れておいたので、私が感じたイメージとしては、

    姉=MEIKOさん
    春也=KAITO
    妹=リンちゃんかミクさん

    な感じでした。姉と春也の掛け合いが、KAITOとMEIKOさんの掛け合いなイメージだったんです。

    春也は、いつか死んでしまう現実を覚悟してのつきあいです。病人として、なかなかできない事だと思い、立派だと思います。このお話では、結局どうなった、という結論をあえて書かないのが凄く良かったと思いました。

    これからも楽しみにしてますね。

    まだまだ暑い日が続きますが、是非ともご自愛下さいませ。

    ではでは。

    2011/06/28 18:41:09 From  enarin

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    メッセージのお返し

    おおお読んでいただいてありがとうございます!!
    はい、今回は脚本形式で書いてみました 文章じゃなくて面白い展開を作る練習として、実験的にやってみました ありがとうございます!
    書くときは意識していなかったはずなのに、書き終わって投稿する前に読み返してほぼ同じことを自分も思いました(笑 姉がMEIKOで、春也がKAITO、妹がミクって感じに

    実際、治る見込みのない病気にずっと苦しめられるような毎日を過ごすというのは、どのような状態になるんでしょうね。実際の心理は分からないですけれど、作品に書いたような春也のようにいられたら良いだろうなあということを思いながら書きました

    本当に、読んで&批評してくださってありがとうございます!!! 極めて嬉しいです!!

    2011/06/29 00:34:24 日枝学

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