第8回目の講座は低域の整理についてです。
前から述べていますように低域は指向性が失われやすく、センター配置が基本なため、楽器同士の音のぶつかりを避けるのが難しい帯域です。
実際にこの問題に悩んでいる方も多いかと思います。
この問題を解決するにはいくつかのポイントが重要になってきます。
今回はそのポイントをご紹介していきたいと思います。
・キックとベースの分離
キックとベースの濁りはもっとも多くの方が悩む問題ではないでしょうか?
この場合はざっくりとお互いの軸である周波数をEQでカットしてしまいましょう。
キックは『200kHz~350kHz近辺』、ベースは『55kHz~65kHz近辺』をカットします。
特にベースは種類によって周波数帯が変わりやすいので、見極めて調整してください。
EQはトラックあるいはバスの最後にインサートします。
これでキックとベースの輪郭がくっきりとなります。
・ピアノの和音
今まででピアノの和音が濁ってしまったという方、いるのではないでしょうか?
これはロー・インターバル・リミットが原因です。
ロー・インターバル・リミットというのは、近い2音間を低い位置で鳴らすことで倍音成分が干渉しあい、音が濁ってしまう位置のことです。
これを避けるには『左手を1オクターブ上げたり、1オクターブ離れたルート音と同じ音を左手で弾く』などの工夫が必要です。
またピアノと書いてしまいましたが、ピアノ以外でも起こります。
特に倍音成分の多いシンセや低音を弾くベースなどにも注意しましょう。
・MSをわける
低音が濁りやすくもこもこしやすい原因の一つにセンター配置であるキックやベースがサイド成分に流れ込んでいることが挙げられます。
これはMS処理ができるEQ、あるいは自分でミッドとサイドに分けたデータを用意する必要があります。
ここでは分けて書き出す方法は割愛します。
サイド成分から低域を削り取る必要があるので、『サイドをソロで聴きながら、EQでキックやベースが聴こえなくなる』よう削りましょう。
これで低域にしっかりと芯が通った感じになります。
低域の整理に関して理解して頂けましたでしょうか?
次回はボーカルのオケへのなじませ方について解説していきたいと思います。
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