やぁ諸君。吾輩は猫である。




 実はあの後、吾輩の第32549代住居、土管城が鏡音リン・レンによって壊されてしまい、吾輩は再び流浪状態である。…ああ、まだ町の中に入るぞ。




 さて、今回は以前つぶやいた、「とてつもなく驚きなことと、吾輩にとってとても有意義なこと」について話そうではないか。




 それのためには、あの桃髪美人について話そうではないか。






    ☆         ☆         ☆         ☆         ☆


 ▼月☆日 ☆曜日 天気 快晴

 今日は雲ひとつなく晴れ渡った空をしておる。

 しかしその空とは正反対に、吾輩の心はいつになくどんよりとしていた。

 それはなぜか。それは、吾輩がこの町のものと仲良くなりすぎてしまったからである。

 吾輩がこの町に来て、間もなく一か月になろうか。吾輩はあの異質な匂いの者ども以外の一般人にも、よく顔を知られてしまった。当然と言えば当然だ。ロシアンブルーの野良猫など珍しい。その上こんなに毛並みが良ければ、いやがうえにも覚えられてしまう。…ん、文句は受け付けん。

 道端で会った人間に「あらまた会ったわね」と言われることもしばしば、そしてミクやメイコには家まで連れて行ってもらったこともあった。これまで出会った五人の異質な匂いを持つ者たちと過ごした一晩は騒がしかったが、あれほど楽しいと思ったのは何年振りだろうか。

 だが、町のものと親しくなればなるほど、吾輩は旅に出ることも難しくなってしまう。ここまで(偶然とはいえ)作り上げられた絆を断ちきってしまうことが、どれだけ残忍かぐらいわかる。

 …いや、あくまでそれは口上。本当は、吾輩の中に、「なにも言えぬまま別れたくない」という思いが芽生えてしまったのかもしれぬ。それをひた隠すために、吾輩はあんな理由をでっち上げたのだろうか。

 旅に出たい自分と、この町の者と別れたくない自分が自分の中で拮抗している、そんな時だった。


 「きゃああああああっ!!ひったくりよ―――――――!!」


 空気を切り裂くような悲鳴の後に、こちらに向かって走ってくる一人の男、ふらついている女。

 男の手には女物らしきバッグが。ひったくりか!

 吾輩はとりあえず思い切りとびかかって引っ掻き、華麗にバッグを取り返してやるつもりであった。

 だがしかし、それは叶わなかった。

 なぜなら――――――――――――



 バチィィィン!!!!



 何かが弾けるような音がして、男がバックを取り落とした。


 「いってぇっ!?」


 男が痛がっているうちに、まるで蛇のような物がシュッと伸びてきて、バッグを引っかけ持って行った。

 黒く革製のような…それは鞭であった。

 バッグを引っかけた鞭が戻って行った先には、一人の女性がいた。

 周りの野次馬とは違う、鮮やかな桃髪の美人であった。

 腰に手錠を下げている。その服装からして、警察なのだろうか。しかし桃色に染めた髪と言い、鞭と言い、ずいぶん個性的かつ一般人の模範にならん刑事…。

 そこまで考えて気付いた。この女、ミクやメイコと同じ異質な匂いがする。だとすればあの桃髪も地毛か?


 「こ…このアマ…!!」


 男は腰から拳銃を取り出し、パン、パンと撃った。

 ところがどうしたことか!桃髪美人はたかだか3メートルといった距離であるにもかかわらず銃弾を華麗にかわしていくではないか!!

 いくらミクたちの仲間たちとは言え、何だこの動きは!?

 一気に桃髪美人は距離を詰め、男の顎に手を据えた。

 
 「ひっ…!?」


 桃髪美人はにたり…と笑ってこう言ったものだ。


 「ムダムダ…あんたの動きはすべて見えてるのよ?観念しないと、痛い目見ちゃうわよ?」


 それでも男はまだ拳銃を下ろさない。

 桃髪美人はふぅ、と息を吐いて、鞭を二度ほどふるった。

 すると、それに合わぬ連打音が響き、男が倒れ伏せた。面がはれ上がっている。

 たった二度ふるっただけで、いったい何発打ちすえたのだろうか。

 この桃髪美人、今までのやつらと何か違う。

 
 「これでよし…っと!」


 男に手錠がかけられた瞬間、あたりの野次馬から拍手が沸き起こった。


 「おおおおおおっ!!すげええええっ!!」

 「さすがは俺たちの巡音ルカ様だあああっ!!」


 桃髪美人は「巡音ルカ」と言うのか。早速近づいてみなければ。




 男を交番に連れて行き、しばらくしてルカが着替えて出てきたところで、吾輩はルカに近づいた。

 ルカはすぐに吾輩に気づいたようだ。


 「あら?その毛色、最近噂のロシアンブルーちゃんかしら?ミク達から聞いたわ。噂通りのきれいな毛並みね。」


 ほう?褒め方がうまいな。通じぬとは思うが一応自己紹介するか。吾輩は猫である。名前など必要ない。吾輩と釣り合わせたら名前がかわいそうだからな。

 その時、信じられないことが起きた。


 「あらあら、名前は必要ないの?まぁ、確かにあなたにつけたら名前のほうがかわいそうかもね♪じゃあ、ロシアンちゃんって呼んでいいかしら?」


 !!!!!!!!!!!!!!

 バ…馬鹿な!?吾輩の言葉がわかるのか!?


 「そうなの。私は人の心や、動物たちの言葉がわかるの。それが私の音波術の力―――『心透視(こころみ)』。人の心を読み、動物の言葉を汲み取る力よ。すごいでしょ?」

 すごいなどというものどころではない。吾輩の言葉をわかるものなど、同じ猫以外でいなかったのだ。まさかこのような者たちの中に、吾輩の言葉をわかる奴がいたとは…。


 「ところでロシアンちゃん。私たちの言葉を理解できるってことは、私たちの存在についても調べ廻ってたのかしら?」


 そうだ、吾輩はお主らの秘密について知りたい。


 「だったら、近くの公園で話してあげるわよ。おいでなさい。」


 こうして、吾輩はルカに異質な匂いの者どもについて話を聞くこととなった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

猫から見たボカロ~心透視桃髪美人~…前編!!

…自分でも想定外です…Turndogです。

ルカさんの話、一話で納めるつもりが、書いているうちにどんどん膨らんで、ボカロの説明とか猫の説明とかおさまらず、前後編にせざるを得ませんでした…。いやほんと想定外。

だってルカさんが悪漢を鞭でピシンパシンとかルカさんが刑事とかルカさんの力が相手の心を読むとか書いててノリノリイヤッフーゥ!!!!なんだもんwww

…え、ルカさん大好きだろうって?そーだよルカさんに踏まれt(←

ちなみに文中でも書かれてますが、ルカさんの力は『心透視』と書いて「こころみ」と読みます。モチ造語!!

さあ、次回ホントにボカロと猫の秘密があかされます!!

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閲覧数:342

投稿日:2011/12/23 01:21:15

文字数:2,532文字

カテゴリ:小説

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  • 青蝶

    青蝶

    ご意見・ご感想

    ルカさんwwwwwwwww
    恐ろしっwwwwwwwww

    こころみ……かっこいいですね!w

    2012/11/04 16:38:12

  • june

    june

    ご意見・ご感想

    Turndogさんのルカさんのイメージ、完全に女王様ですねww

    どMホイホイだww

    文句は受け付けんw

    2012/07/22 18:12:29

    • Turndog~ターンドッグ~

      Turndog~ターンドッグ~

      ええ、何か文句でも?(ドヤァ…)
      もっと踏んでくれ(ry

      それにしたってこのころはホントにただのドS女王様でしたねルカさんwww

      2012/07/22 20:55:17

  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    ルカさーん!!かっこいい!!!

    そして鞭を使う!
    これは猫じゃなく、ライオンなら飼われてたなwww
    火の輪とかくぐらされなくてよかったな!wwねこm…ゲフン。

    2011/12/18 21:07:16

    • Turndog~ターンドッグ~

      Turndog~ターンドッグ~

      どうしても抜けないドSなルカ女王のイメージwww

      とりあえず踏まれt(心の声)
      ルカ「あら…踏まれたいのね?ならばスパイクで踏んで差し上げましょうか?」
      ごめんなさいごめんなさいごめんなさいでゲソ!!

      2011/12/18 23:59:07

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