偽物の歌
造られた心

本物などない世界

じゃあこの気持ちも”偽物”―――?



『嘘ノ花』



+*設定*+

汚染された世界には機械人形へ自分のすべてを移し、生きる者が続出していた

そんな世界で、生身の人間はどんどんと減っていき、ついに生きている…動いているものは機械人形と、それに自分のすべてを映した人―――機械主のみになった

そんな世界のある一人の機械人形と、壊れかけた機械主の、話



*ルカ(機械人形)
マスターと出会うまで、一人だった機械人形
擬似声帯もち、歌を歌うことができる


*マスター(機械主)
精神部位を司る部品が壊れて、もう寿命が来ようとしている
廃墟で動けないでいたところをルカと出会う
人であった頃実は…








月下に照らされた何もない場所に建てられた建物

―――人の気配の全くないその場所…廃墟で動く影が一つ

彼女は鋭利な音をコツコツと響かせながら、廃墟内を歩いていた

彼女の名前は”ルカ”

腰半ばまである淡い桃色の髪を夜風に靡かせながら、この場に在った

彼女の眼には、この暗い廃墟のなかも、昼間と変わらない明るさが保たれている

なぜなら、彼女は機械人形―――人にあらざるものだからだ

紫苑の瞳にはそこらじゅうに物が散らかった混然とした廊下がどこまでも奥へと―――彼女を誘うように伸びていた


「進もうか…」

一言小さくつぶやくと、足を前へ進めた


***


そこでルカが引き返していたら、何かが変わっていたかもしれないし、何も変わっていなかったかもしれない


ただひとつわかることは


ここが彼女の”選択肢”…であったことだけであった





ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

『嘘ノ花』~初~

パラレル世界のルカとマスターのお話
何もかも捏造万歳★

閲覧数:99

投稿日:2009/02/10 21:24:00

文字数:718文字

カテゴリ:小説

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