由々しき事態だと、年老いた大臣達が口々に叫んでいる。
どうせ私には関係ない。また勝手に、カムイ大臣が決めて、それで会議は終わるのだから。早く終わってほしい。特に今日とゆう日が。
「静粛に願います、皆様!」
カムイ大臣が叫ぶだけで、みな口を閉じる。
ここはまるでカムイ大臣のお城みたい。
私という人形は必要なのかな、と時々思う。
・・・でも、すぐ後で気付く。
ああ、彼を死なせないようにするのが、私という人形の役目なのだと。
ようするに彼の影武者。国民が反乱を起こした時、殺されるのは『女王陛下』の役職につく私。大臣達は無視され、私だけが非難され、処刑される。それが、責任者の役目。
ボーッとしていると、いつの間にか会議は終わっていて、カムイ大臣が私の前に跪いていた。
「女王陛下」
「・・・」
「本日はいかがなされますか?」
「・・・そうね、部屋で休んでいたいの・・・構わない?」
「本日は、ごゆっくりとお休みください」
何日振りに声を出したのかしら。
あまり話す必要がない私は、誰かの会話や声を聞いてばかりいる。話す権限がないものだから、話を聞く事しか出来ない。それに、話す事もない。だから、他人の話を聞くか、何か別のことを考えてばかり。
「お久しぶりです、女王陛下」
部屋へと続く長い廊下を歩いていると、突然声をかけられた。
声のした方向へ顔を向けると、つい先日城下町へ向かう時に護衛でついていた騎士団の団長メイトの姿があった。
「本日は気分が悪いそうですね。気分転換、なんてどうですか?」
ニッコリと微笑むその表情は、カムイ大臣とは違って、まるで太陽のようで・・・少し眩しく見える。彼はいつも明るく、広くて暗い城の兵士を元気付けている印象が強い。
「また、レンや俺を連れて城下町まで行きませんか?」
どう答えればいいのか分からなくて、返事もせずに黙っていると、メイトが小さな舌打ちをしたのが聞こえる。どうやら機嫌を損ねてしまったみたい、と考えていると、彼に「リン」と呼び捨てにされた事を思い出す。不快に思わなかった。むしろ、嬉しかった。今は亡き父と兄にしか、記憶の中でしか呼ばれない名前。
「死んだ家族は、残されたアンタがそんなんじゃ浮かばれないだろうな」
「・・・・・・」
「っ!お、おいおい!」
感情なんて無くなったと思っていた。
彼に言われた言葉に、私は自然と涙を流していた。目の視点を合わさず、ただ無表情のまま、涙を流していた。私の涙を見た彼は、両目を見開いてうろたえ始める。
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