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東京の小学生について、ぼくはほとんど何も知らない。
なぜ小学校なのに制服を着ているのか。
なぜ男も女も紺色の鞄を持っているのか。
なぜ駅が小学生の大群でごった返しているのか。
なぜいいとこの学校の生徒ほど生意気な態度をとっているのか。
東京の小学生について、ぼくは微塵も興味はない。
しかし、彼女は別...

ときどき、夜、眠れないときでも、
眠れない自分を差し置いて世界はどんどんと時間を進めてしまう。
そのことに僕はひどく焦りを感じる。
そういう時には、世の中のペースに付いて行けなくなる。
だから、僕自身が光速に近い速さで動くか、
あるいは、恐ろしく重力の強い場所に行くかして、
物理的に時間を遅めてしま...

そうして、年を経るごとに
形式になり、権威になり、象徴になってゆくならば
全て彼方に打っ棄って
荒地の雑草を抜いていることでしょう。

まんじりとあなたのことを想っていたら、
まんじりとしてしまい、
なんとなく、まんじりと空(くう)を見やる。

すきな人を、因数分解していくのがすきだ。
すこしずつ、ひもといてゆく。
邂逅（かいこう）によってだと、なおよい。
絹であまれた球体のようなそれを、
じゅうりょくに沿ってときほぐしてゆく。...

桜が散って、葉桜になると、ほっとする。
はやく花見に行かなくては、と切迫せずにすむからだ。
春は、どこかに行かせようとし、どこかに属させようとし、焦る。
春になると、自分の椅子ですら、よそよそしく感じてしまう。
ふと、目を離したすきに、私の椅子には見知らぬ誰かが座っている。
はやく私の椅子が空かない...

カビ臭い　北に向かって立つ　家の窓　壁に囲まれた　三角州

唄を聴く　二度寝の頭上に　洗濯物が浮かぶ