吹憐の投稿作品一覧
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永遠の片隅に
一瞬が棲んでいるの
輝きの向こう岸に
黒い雨が降っている
喜びの繋ぎ目に
哀しみが滲み出すの
祝祭を見つめる目に
羨望が隠れている
宝物を探していることに
宝物はないことに...旅人の詩
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まだまだ 響くはずよ
音楽をやめないで
夜空を 霞めるほど
わたしハイキノメリア
そんな目をして
何を思っているの
足を投げ出して
歌うわたしが不思議なの
罅われた壁
朽ちかけのエレクトロ...ハイキノメリア
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城壁の奥の渇れた街
灰色の砂埃舞う
錆びた竜哭く門くぐり
城へと足を踏み入れた
回廊を埋める陽の光
揺るがすものは何もなく
兵士の手から鍵を取り
銀色の扉を開けた
刻の止まった城で
彼女は今も眠る...刻の魔女
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歌声よ散りなさい
一思い この夜へ
潮騒の蒼き聲
追いかけて この夜へ
烏瓜に火を灯し
歩く影を追い越して
月の下の一番座
まだ見ぬ人も通りゃんせ
歌声よ散りなさい
さんざめく この夜へ...追想一番座
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立ち昇る泡に映した
黒い瞳 夜の内側
膨れだした優しい闇で
抱いてあげると 静かに云った
天撓垂れる
瓶の底で
手と手を絡め
漂ってる
おやすみ メーデー 月ヶ浦
重力はどこに なくしてきたの...海月記念日
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開いた手のひら重ねて
十の指で海を掬ってる
隙間のないように結んで
白い傘の下まで運ぼう
一滴こぼれてしまったら
何もかも空しくて
二人はもう歩けない
魚に戻ってしまう
白銀の魔法にかけられて
繋いでる手の中で...瑠璃雀
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さあさ 種蒔く時間は去って
芽を出したのは何の情だ
雨の如く降る 君の切望
差し向けられて 気が震える
繋いだ手 絡めた指
枯れる日までは、このまま
受け接いだ想いは感電するほど
熱い 熱い 焼けるような熱
心臓に願いを植えつけたいんだ
傍にいてと絡む ハリガネの木...ハリガネの木
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海辺の砂の匂いがする
君の肌をキャンバスにして
蒼い絵具でこぼした夢
反射する 昼中の月
心臓は海星の象
浅く光る 波間に歌う
突き当たる胸の裏側で
反響する さざなみの声
君から還る波が
足裏を浚ってゆく...昼中に召す
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かつてここに世界が一つ
螺子を回せばやがて二つ
重なる時が石を積んで
二つの島に橋を架けた
蒼い海に世界が二つ
種を植えればやがて三つ
絡まる枝を翼にして
高く空へと舞い上がった
wyra 歌え唱えたまえ
我らの大地を讃えし歌...時翔けの歌
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大体、杞憂だ 哀しいことは
そっと歩み寄ってなんか来ない
大体、来るのは虚しいことだ
ぬるい水みたいな 日々の行進
まわれ左
時計の針を
跨いで欠伸をする
白磁のような滑らかな日々
傷ひとつない こんな午後には
その気になって遠くへ行って...昼底で空を見る
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さあ唄いなさい
壊れた鍵穴から
零れるメロディー
発条などもうない
砕けた鏡と
埃にくすんだ夢
脱ぎ捨てた靴の
踵に絡んだ糸
オートマタの家は
三番街の窓の中...オートマタの家
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アインザッツ、目を閉じる
息をするものすべてが
アインザッツ、目を開ける
この世界中なにもかもが
瞑目に投げる石
広がった波の下で
始まりの予感に
鐘の音響かせた
まだ見ぬ貴方を待っていた
英雄のいない物語...LEO
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君の舟を
放すなら今だ
水平線ゆらゆら震える
僕の指を
離すなら今だ
目蓋の奥ふらふら漂う
透明な影に映る色を
反射して游ぐ
そんな日々を
密やかに晴れた今日の海に...君、満ち足りた朝
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神様どうして
月など創った
裸足の私は
照らせど惨めだ
神様どうして
海など創った
魚に生まれる
夢など抱かせて
偉大な世界の
平凡な一日...Witch's beryl
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貴方のためなら片目を閉じて
綺麗なものだけ見届けようか
真昼の草むら揺蕩う影に
か細い踵は取られて折れる
ダイナ おいで 可愛い子
頭を撫でてやりましょう
貴方を攫う幻想の中
見えない気配が笑いかけてる
おいでおいでと招くその手に
小さな世界は壊されていく...ダイナの迷宮
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君を汚しても
空は晴れないな
ビリジャン
風のない街で
淀んだ微睡み
掴んだ
その微笑みをなぞりたい指さえ
枯れてしまう と
爛れ果てた 白い朝を溶かして
二人の盲目に落とすよ...Viridian
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最高の夢なら
揺り籠に置いてきた
片足にまだ残る
繭の様な感触
薄煙り裂くみたい
生れ落ちた朝に
最高と最低の
廻廊を駆けたでしょ
高く 飛ぶ鳥を射よ
海鳴り 快晴を受け止めて...ブルー・ブルー・ブルー
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愛を誓うのに 疲れすぎたのと
風船にこもる
耳障りな雨 抱き締められてた
貴方の胸から
月並みな嘘で 張り裂けるならば
麻酔をかけよう
優しくもなれる その崩れ落ちた
腕を拾い上げ
括らないで 五本の指には
五人の私が住んでた...笑女
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覚えていたいわ
宝石よりも
時間を止める
貴方の言葉を
抱えていたいわ
偶然だけが
繋いだ輪から
昇った想いを
最良の世界を
翻すのは 貴方だけ...ウォーター・パーク
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「蒼い小瓶の底で
真珠のように眠りなさい」
「衣擦れに背骨を丸め
すべて忘れて眠りなさい」
あれはまだこの左目の
開かぬころ 誰か歌った
尚早に覚めた右目を
あやす まじないの歌
ティトゥラ ティトゥラ
その歌声は...光の構成
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ぞんざいな誘惑に負けて
気がつけば罠にかけられた
有終に飾れる美なんて
私にも貴方にもないね
挑戦は失敗に終わった
罪になるほど優しくない
悪事で片づくことならば
嫌な夢だと言えたものを
慢性的な歌に酔って
蹴散らしたいな 許せよ...気化する五秒前
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両手を空へ
挙げるサインで
君と僕は
二つになった
分かち合った
目と目あわせて
君と僕は
二人になった
ひとつに生まれた幸せを捨てて
二つに壊れる未来を選んだ...プラナリア・ハロウ
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一の身体は無垢なもので
悲しみ一つ 纏えなかった
白い陶磁の指で触れれば
儚く踊る 火を愛と謂った
次の身体は柔なもので
憎しみ一つ 覆えなかった
苦い薬で眠るときだけ
爛れる胸の 痛みも眠った
途切れない糸の先
繋いだ貴方がなぜ泣くの...化身
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ぐるぐる廻る 標識追って
駆け抜けた遊園地
あっちとこっち 引き離された
風船二つ浮かぶ
ぐるぐる逃げる オトギノハナシ
追いかけた遊園地
鬼さんこちら どこにもいない
バニラアイスは溶けた
ふやけたコーンをかじれば
たちまち 夜が...メリーゴーランドを乗り捨てて
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朝が来ないから
夜も来なかった
狭い花の中
照らしてる蛍
君を分かつなら
いっそ要らないな
何も言わないで
そういうことでさ
共有者になるのなら
きっとこの指は...蝶
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青白く光る窓 眠れない君の揺れる声
飛べない羊の足音 ラジヲの代わりにして
目を綴じる三日月は もう何も見ない夜だ
溜息まじりに星を 乾いた路地に散らす
ルタルラタ 街灯の咲く 夜道に降りて
遠い世界の歌を 君に届けに行こう
ざわついたラジヲの 電波を貸切りにして
遠い世界へ続く ドアを開けやってき...オルガン弾き【曲先】
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色褪せた鉢の底
苔の囁く三番地
赤茶けた建物の
並ぶ街角歌ってる
ルラ÷ルラ 傘の花
咲いた土の下で
ルラ÷ルラ 君を待ち
焦がれる日々の詩
野良猫が立ち止まり
ふいに駆け出す三番地...猫街三番【楽師様決定】
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その眼差しは
他の誰も知らない
自分の眸の
色さえも知らない
鏡ひとつない部屋で
真昼を吐き出すラプンツェル
その両足は
外の道を知らない
窓の下にある
芝生さえ知らない...ラプンツェルの心臓
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信じ合える喜びよりも
それを渇望することのほうが
時に甘くも思える僕は
悪くない犬だと思わないか
なだらかな進化論よりも
一瞬に咲く永遠のほうが
上手く愛せる非道な君の
手のひらを甘噛みしてみようか
蓋を開いた劇場で
一人芝居...D
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殻の中から ずっと呼んでる
名前をひとつ 水に浮かべて
西へ乱れる 星の軌道に
丘の彼方も 蒼く泣く頃
ルゥルララ ルゥルララ
ほろほろ落ちる 鍵盤を叩いた
秘密のことば 約束のいろは
指きりの数 並べた柵の向こうに
佇むあなた 緩やかな波が
私の鼓動の音だと 気づかないまま...瑠璃奏での夜【曲、動画有】
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足元にはいつも
メルヘンが口を開けている
街を染める風に
煽られて舞った虹の羽根
知らないほうが
幸せなんて嘘
アリス・センセイション
いつだって
隣り合わせ 不思議の国
アリス・センセイション...アリス・センセイション
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鬣に触れるのは
いつも怖い
その輪郭を壊してしまいそうで
指先まで尖った
私の手が
その存在を乱してしまいそうで
濡れた体に砂を纏って
王様になった あなた
ハロー 砂のライオン
調子はどう...砂のライオン
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リィタ リィヤ
リティア リィヤ
望遠鏡の中 二つ星
リィタ 光る
零れそうな君の 眸には
リィヤ 何が 映る
(Shh-)
(リィタ リィヤ)
(リティア リィヤ)
(リィタ リィヤ)...ドラゴンアイ
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午前零時のコール 光りだした画面を割って
匿名のメッセージ 飛行機になり飛び立ってく
待ち合わせ場所へは 空も翔けてゆくパンプスで
風の騒ぐ音に あなたの呼び声が混じりだす
走り抜けてゆく 黒いアスファルトに
星が降り注ぐ夜
Parade night
Starlight
ミラーボール満月 影を抱き寄...Mr.Light【曲先】
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よく似た魔法に出会ったよ
どうやら手品というそうだ
姿は自由に変わるのに
笑った声だけ変われない
その罪状に煌めきを問う
琥珀の杖を振ったのは誰?
ユリーカ 出ておいでよ
大樹と木洩れ日の間
一人きりで 歌をうたってる
幻を纏う女の子...ユリーカ