東風東

僕は、
貴方を愛していますって
ありきたりな言葉　はぐらかして
それはもっと、ずっと、やっと
心の奥深いとこまで飲み込んだ
貴方のことを愛しています
嘘ではないと誓えます　でも
もっと、ずっと、きっと
言わないでいるべきと僕は知っているから
偽りのない　言葉で話します...

ひとりになって考える
今日の献立は何にしようかな
またひとりになって考える
余り物も大してないからな
ひとりになって考える
昨日のこと今日のミスしたこと
ひとりになって考える
明日の不安とやらなきゃいけないこと
天気予報は晴れ
雨の続いた日々がほら明けて...

エンドロールを最後まで見ずに
席を立つ人がずっと嫌いだった
流れる文字を最後まで見終えて
明かりが点くといつも後悔した
エンディング後の新しい世界では
みんな消えた誰かのことを懐かしんで
『人の死なんてそんなもんか』と
私は捻くれたことしか思い付かなくて
『誰かの勇姿がみんなを成長させたんだよ』
な...

街角を歩く　誰にも内緒で
街角を歩く　誰にも会わないで
大通りを避けて　小路で迷って
地図なんて見ないでさ　気ままにさまよって
あそこ行こうかな　なんて思いつきで
いざやって来てみれば　今日は定休日
あれしたいこれしたいも　全部投げ捨てて
日々の隙間を　歩いてく
今日一日何もできなかったって
こんな...

真っ白に染まった、目の前の風景を、
僕はまた、二次元的に世界を見る。
閉鎖的な感情に支配されていたくて、
僕はまた扉を開ける手を破り捨てる。
ゴロゴロと転がり落ちる人々の足音に、
僕はまた、多次元的に嘲笑う。
開放的な感傷にずっと浸ってたくて、
僕はまた、
破り捨てた手を嘘みたいに痛がる。
（それが...

薄暗闇に照らされた　日々の輪郭と
まだ閉じないでいる　重たい目蓋
バックライトに映された　右手のメッセージは
まだ　誰かのことを　見つめてるんだ
夜灯虫の群がった　蛍光の点滅に
虚ろう心を　預けてる午前3時
冷めきったコーヒーの　残りを飲み干して
また　夢に落ちる真似を　繰り返す
夢遊病のフリして歩...

なにかありそうで　なにもない
あの日々に　まだ囚われてるんだ
12月31日
ふと寂しくなった寒空
君に「暇？」ってメッセージを
打つのすら暇つぶしで
あの頃は良かった　なんて
あの頃に言えただろうか
あの日見た　良かったも　悪かったも
全部全部　ひっくるめられっかよ...

夏が終わった。
あの日歩いた平行線の先で、
「交わることは、もう無いのかな？」
なんて無気力な僕を笑ってよ。
嗚呼
揺らいだ蜃気楼のすぐ隣で、
蒸せた月夜の香りは彼方へ消え、
酷く渇いた喉に流し込んだ水と
遠く空へ、消えた声。
君と見ていた花火は、すぐに散って、...

灰被った私　グレースケール潜る三秒間
目を瞑ったままで　落ちる
聞こえないふりで　刻む時計の針は重なって
お姫様の時間はもう終わったの
空けかけたボトルのキャップも閉めないで
飲み干した泡が貴方に重なって
思い出したくもない残像が夜の帳に
また映される
灰被り姫の電脳城は　光る廃人の夜の灯りに消えた...