タグ「ボーカロイド」のついた投稿作品一覧(13)
-
エネ
-
神とは何か。
それは、人知を以てはかることのできない能力を持つ、全知全能の絶対者。
その位置は揺るぎなく、いつだって人間を見下ろしてきた。
禍福を等しく与えるための様々な課題にぶつかり、応じて様々なものを世界に投げ込む。
そうして世界を創っていくうちに、僕はいつしかここに立っていた。
創った世界の中...敗北の少年
-
人々の喧騒が飛び交う大都市。
本日の天気は曇りだ。
漫ろにふらついていると、珍しくもない耳鳴りが聞こえた。
前世の記憶か何かが、フラッシュバックする度に。
最初は、確か……。
人力では避けられない出来事を引き起こし、後先を考えていない演説をして世間を混沌へ誘った、大事変の立役者。
こんなものを思い出...リンカーネイション
-
モザイクロール
-
まさか、こんなことになるとは。
僕はこんな悲劇的な結末、望んじゃいない。
何もかもお前のせいだ。
愚かしい。
下らない。
お前さえ、いなければ――。
ある研究所(ラボ)に、ひたすら研究を究め続ける学者がいる。
その男はいくつもの大いなる発見をし、世間の目を奪った。
故に男は、天才学者と呼ばれる。
素...カミサマネジマキ
-
それは、名も無い時代の、誰も知らない御伽話。
物語の中心になるのは、名の無い少年。
少年はいつも一人だった。
来訪者の途絶えた小さな小さな集落で、その少年の格好はひどく目立つ。
村人は全員和服であるのに、彼は西洋の服を着ていた。
なんでも、他国の若き皇太子だそうだ。
だが、産まれついたときから普通で...六兆年と一夜物語
-
突然 "透明人間になりました" なんて言って、誰が信じるだろう。
確かに、目の前で話していて姿が見えなければ、それは信じざるを得ない。
だが、姿も見えずに言われたらどうだろう。
誰しもが "そんなことは有り得ない" と言うに違いない。
しかし、そんなとんでもない現象に、僕は出逢ってしまった。
いつか...インビジブル
-
この頃、実体のない妙な声が聞こえる。
性別はわからない、中性的な声。
どちらかといえば、女性寄りだと思う。
聞こえる時間帯は疎らで、内容も様々だ。
昨日は "明日の午後は雨が降る" と、ぽつりと答えた。
しばしばノイズが入り、耳鳴りのようにも聞こえる。
だが、言っていることが聞き取れないほどではなか...イカサマライフゲイム
-
体が酷く重い。
寝ている間こそ気づかなかったが、目覚めたらそうわかった。
鈍器で殴られたような感覚だ。
動くとギシギシと体が軋み、起き上がることさえ楽ではない。
そこまでして、はっと気づく。
目の前に、小さなボタンが転がっていた。
その横に、一枚のメモ書きがある。
"Cela fait votre ...人生リセットボタン
-
「夢のない毎日を続けてたって、無意味なだけだ。」
ご主人は、いつだったかそう言いましたね。
求めるものも目的もない人生ほど、つまらないものはない――。
成程、ご主人の言うことは正論でしょう。
でも、非現実に現実逃避するその姿は、前言に相応しくない。
何か、受け入れ難い現実から目を逸らしているような…...人造エネミー
-
君は、知らないよね。
知るわけが、ないんだ。
だって、君を失って、幸せそうな顔で儚くなっていく君の灰を目にした後で――
――僕は、今更になって気付いたんだから。
君が、『好きだ』って。
そう…いつだったかな。
君が少年として駆け回ることのできた、最後の夏。
君は「大人にはなりたくない。子供のまま、自...地球最後の告白を
-
ぐっすり眠って、気持ち良く起きた、朝。
早寝をしたために、早起きしてしまう。
目覚めてまず思うのは、君のこと。
だって、そうでしょ?
今日は君に会えるんだから。
小さく伸びをして、ベッドを出る。
洗面台にて洗顔し、目の前の鏡に目を向ける。
昨日、思い切って前髪を切った。
長い前髪はピンで止められてい...メルト
-
とある都市で最も栄えていた街、ティクリード。
商人は活発に商売をし、港では貿易船が行き来し、子供達は元気に街中を駆け回る。
そんな活気的であった街で、建物が少ない瓦礫の一角の紅色の壁に『時忘人』である僕――アゾレスは凭れかかっていた。
『時忘人』というのは昔友人につけられたもので、時間を忘れたように...時忘人