ののささん

歌い手兼作詞をさせていただいています ツイッタnonosa0804

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イチオシ作品

ツイッター企画 倉子SIDE +α

倉子SIDE  恋は魔法だとかよく比喩的表現で例えられるけど、私はそんなの信じたことがない。だって、今まで恋なんてしたことがないから信じようがなかった。  それ以前に、恋なんてする余裕がなかった。私の人生は、おおよそ艱難辛苦で七割七分七厘が語れる、と思う。  一番古い記憶を辿ってみると、寒い。あぁそう、寒い。  あとはなんだっけ。施設とか、いじめとか。そういった感じだっけ。思い出すのも馬鹿らしくていけない。  親がいなくて?施設にいて?虐められてて、惨めなままで?あぁ、おぞましい。  自分しか頼る相手がいないんだから、自分がしっかりしないといけないんだ。  そう考えてた時に、彼は喋り出した。 「わかってるんだよ、臆病だってことは。でもそんないきなり話しかけられないし、こんなに長い時間いるのに共通の話題すらないんだからどうしろっていうんだよ。  臆病なんて自分が一番わかってるんだ。でもだからってどうにもできないよ。無理なんだよ。無理。無理。無理。そんな度胸なんてないし、好きなことを伝えるなんてもっての他なんだ。  そりゃ名前で呼んでもみたいよ。でも笹川さんなんて呼び方は余所余所しいし、かといって下の名前で呼んだら嫌われるかもなんて考えちゃうから、どうにもできないんだよ。  弱虫と蔑まれたって、草食系と嘲笑われたってしょうがないじゃないか!人と触れ合うことがどれだけ難しいことか。ちょっとの勘違いで崩れることもあるし、あらぬ方向へと進んでしまうこともあるんだから。  どうしろっていうんだよ。難しくてややこしいんだよ。でもしょうがないじゃないか!ああそうだよしょうがないよ。好きになったらしょうがないじゃないか。怯えながらでも自分で進むしかないよ。でも進む時間だって、酷くのろまで、だから、だから。」  それは台本。まるで台本。  朗読しているかのよう。  言い聞かせているかのよう。  囁いているかのよう。  演じているかのよう。  誰に?  自分かもしれない。私にかもしれない。ただあまりにも突拍子に、いつも大人しかったあの嶺君が喋り出して、私は呆気にとられるしかなかった。 「嶺くん・・・・・・・・?」  だからほら、出てくる言葉もこんなありきたりなもの。  大人しく私は考えることにした。さっきの言葉の意味を汲み取るように。  そして、・・・・・・・・・・・・え?  後半の言葉は、きっと嶺君が自分自身を激励でもするためにあるものだと思う。でも、前半は?前半の言葉は?  告白?誰って、この場には私以外に、誰も・・・・・。 「いない。」  ・・・・・・・・・。 「ねぇ、・・・・・・嶺君。」 「ッツ!!!!!!!!」  消えた。ものすごい速度で。私の視界から消えることが義務のように消えてしまった。  無責任だよ。無責任にもほどがある。私のこのもやもやした納得いかないような、気味の悪い感覚は、どうすればいいの。ずるい。 「いきなり告白して・・・退散って・・・・・・・・・・・。」  腹立たしいというか、呆気にとられたというか。感情が迷路に迷い込んだかのように、納得がつかない。いや、告白をされたんだから、戸惑ってこうなるのは当たり前。  夜の暑さが、妙に肌にまとわりつく気がした。  その気になれば、粘液でもまき散らしそうな、そんなしつこさを持った暑さだった。  ぐるぐると、ぐるぐると脳内をミキサーのように回転させながら、自宅へ戻る帰り道。いつもと違う暗さ、いつもと違う明るさ、いつもと違う足取り、いつもと違う歩幅。  いや、同じ。私の意識が変わっただけで。・・・動揺してるのかな?好きって感情がさっぱりわからないのに?  自分でもわからない感覚に戸惑う中。そんなことはお構いなしに。そんなことに意も介さずに、声がした。 「ねぇ、そこのお姉さん、占いしていかない?今なら無料だよ。」 「へ?・・・私?」  辺りを見回す。・・・私しかいなかった。  いきなり声をかけられ、狼狽える私に構わず、自称占い師は飄々と続けた。 「そう。なんだか悩みがありそうな感じだしね!よかったら占ってあげるよ。少しは気持ちも、気休め程度には楽にならないかい?」 「それは・・・・・・・・・。」  そうかもしれない。少なくとも、今の私には当てはまりそうだ。 「よし決定!それじゃあ、ちゃちゃっと座って。」  言われた通り、大人しく席に座る。暗がりに、証明がないので、占い師の顔はよく見えない。いや、それよりもフードを深く被ってる姿は不審者に近かった。 「あの、手相とか・・・。」  私は、恐る恐る手を差し出し―― 「手相なんていいよ。僕が見るのは人相さ。」 「人相?・・・それ偏見が混じってるんじゃ。」 「失礼だねえ。じゃあいいよ。ドン引きするくらい正確に悩みごと当ててあげるから。」 「・・・・やってみてくださいよ。」  占いに興味はない方だけど、そこまで自信満々に言われると、興味が湧かないというのも嘘になった。 「まず、君はついさっき、仕事場のお仲間の異性に告白でもされたんじゃないのかい?」 「!?」  ・・・。・・・・・・・・・・・え? 「次、返事はまだしてない。」 「あ・・・っと。」 なんだ、これはなんだ。 「その次、君の名前は笹川倉子。」 「えっ・・・・・・。」  心臓が、飛び跳ねる。肺が大きく動き出して、酸素を必死に求めだした。  場の空気が変わった気がして、息が、上手くできない。・・・酸素が欲しい。 「告白された相手は、国原嶺。」  私は、色々なことを考えていた。なんで、名前が知られてるの?・・・嶺君の知り合い?だとしても、ついさっきあったことをずばりと当てられるものなの?  いや、いや。いや違う。嶺君だって、誰かに相談したりしてるかも知れない。だから、この占い師はきっと嶺君の友達で、ついさっきの現場を見て、嶺君の後押しをしようとしてこんな手の込んだことをしてるんだ。  それで、全部説明がつく。 「でも返事をしてないってことは、意外性で君の想い人は店長の高谷さんだったりするのかな?」  そう、そうすれば、説明がつくから。店長の名前が出てきたって、なんら不思議じゃない。不思議じゃ・・・ない。 「嶺君のお友達ですか?・・・ちょっと手が込みすぎてませんか。友情とかっていうのはわかりますけど。」 「あ、インパクト足りなかった?じゃあ・・・その嶺君は、今日五番テーブルの注文受付で苦情受けたでしょ?『何も対応せずにぼうっと突っ立っていただけで、急に五月蠅いって言って注文も受けずに厨房に戻っちゃうから。お客さんが怒ってさ。注文はビール2杯と枝豆。お客さんは結構いい年したお爺さん二人。五番テーブルは珍しく、今日はそのお客さん以外使っていないもんね。』接客態度があれじゃあなあ。」  確かにそうだった。でも、もうタネがわかった以上そんなものですら白々しく感じてしまう。 「もういいですから――」 「そのもういいってのは止めない?」  占い師の口調が、少しだけ強いものになった。 「・・・はい?」  何を言い出すんだ、このインチキ占い師は。 「手の込んだ芝居ってのは認めるよ、不愉快な思いをさせて悪かった。でも君は彼のことを、彼らのことをなんもわかってないからね。」 「そ、それはわかってないです。でも!いきなり告白されたこっちの身にも・・・・」  あれ?待って、この人今なんて言った?・・・・・・・・彼ら? 「そうだね。君にとっては単に一年間を過ごしたバイト仲間だ。ただねぇ、そんな労働の時間が、嶺にとっては心の支えにもなっていたんだよ。  身勝手な想い?気づかせたいなら行動しろ?あぁそうさ。ごもっとも!正論だよ、反論の余地なんて1ミクロンもありはしないね。」  私にはそんなのわからない。だから、ただ困惑するしかない。 「だ、だったら・・・・・・・。」 「だから、これは僕からのお願いだよ。」 「え?」 「少しだけ、彼の気持ちを考えてみてよ。ほんの少しでいい。考えた後は、アイツを振ろうが、付き合うことにしようが自由にすればいいよ。」 「・・・・・・・・。考える?」 「そう、それだけだよ。」  考える。考える。・・・そんなこと言われたって、わからない。嶺君がいつから私を好きになっていたのか。いつから私を意識していたのか。いつから自分の気持ちと葛藤していたのかなんて、わかるはずもない。わかるわけない。  天地が引っ繰り返ったって、相対性理論が覆されたって、時間が巻き戻ったって。  占い師の声が、反芻される。頭の中でそれは大聖堂の鐘のように響いて、私の中で大きく広がっていく。止まることを知らなくて。  返事は、まだしていない。なら、彼の気持ちを、少しだけでも、嶺君のことを・・・。  考えてあげる?  恋を知らない、私ができること・・・・。 笹川倉子が、何かを決めたような顔をして、その場から立ち去った後、占い師は短く溜息を吐いた。 「・・・・・くっだらねー。」  独り言のように、彼は空に向かって語りだした。 「なんで嶺のためにわざわざこんなことしなきゃならねーの?俺親切過ぎるだろ。キリストもきっと裸足で逃げ出すね、この優しさには。」  声色は変わらない。 「嶺と一緒とはいったって、あいつがチキン過ぎるせいで、俺が動かなくちゃなんねーの?」  さらに、彼は続ける。 「あーあ。本物の運命共同体ってのにも飽き飽きする。体二つあればいいのにな。」  フードを脱ぎ捨て、暗がりでよく分からなかった顔が、雲から顔を出した月明かりに晒される。  その顔は、独特の少年っぽさを残しつつ、優しそうな印象を本来なら相手に第一印象として与えるのだろう。  だが、今は、目つきが違う。鋭いソレは。  それでも、目つき以外は否定できない。  正真正銘、国原嶺の顔だった。 END

前回の嶺サイドと比較して読むと少し面白い・・・こともないOTL
投稿日時 : 2012/03/13 23:52

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