れっぷるの投稿作品一覧
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海が大好きだった。
昔から、ずっとずっと。
僕にとって海は、生まれてから今まで僕を支えてくれる存在。
愛。僕は確かに、その感情を海に抱いていた。...海
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深夜、レンは名前を呼ばれた気がして、目を覚ます。
静まり返った部屋、教会。ただ響くのは、時計の針が動く音。
不審に思ったレンはベッドから起き上がり、もう一度よく耳をすます。
『レ…ン』
「………リン…?……リンッ?!」
レンは慌てて枕もとの鏡に手を伸ばす。
鼓動が妙に早くなって、汗がうっすらにじんで...影と鏡と光((タイトル仮⑥
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少年の新しい人生がはじまった。
レンはどうしても神を信じきることはできなかったが、それでも自分の償いのために、一生懸命に教会で働くようになった。
あの日から、鏡に写るのは暗闇だけだ。リンはもう鏡を覗き込んではくれない。
最後に見た彼女の悲痛な表情を思い出すと、レンは激しい後悔に苛まれる。
それでもレ...影と鏡と光((タイトル仮⑤
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次の日になっても、鏡にリンが写る気配はなかった。
名前を呼んで出てくるものでもないと分かっていたレンは、ただひたすら彼女が鏡をのぞいてくれることを願っていた。
初めてだったのだ。誰かに笑顔を向けてもらったこと、優しいと言われたこと、全部全部。
『レン』
鏡から聞こえてきた、少女の声。
レンはハッと鏡...影と鏡と光((タイトル仮④
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『私、両親と3人暮らしなの。お金はあまりないけど、皆で働いてるから何とかなってる』
「ふぅん…」
『私は畑で作業をしたり、採れた野菜や果物を売ったりしてるんだ』
「ふぅん…」
暖かい日差しがさす日。硬い地面に座り込み、鏡の中の少女と対峙するレン。
リンの話に適当に相槌をうち、レンはぼんやりとこれから...影と鏡と光((タイトル仮③
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それから数日が経った。裏道で、少年はジッと空腹に耐える。
老人を殺したナイフの柄を握り締めて。
僕はどうすればいい?
自問自答を繰り返す彼は、ピクリとも動かない。ただ、自分の足元から伸びる影を睨み付けるだけだ。
僕はどうすればいい?
重ねるだけ、罪を重ね。まるで溝鼠のように生きている。
僕はどうすれ...影と鏡と光((タイトル②
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何かを握り締め、走るその少年の瞳は、暗く、虚ろだった。
偽善をはたらき、罪を犯し、他を傷つけ、時に殺す。
全ては、生き残るために。彼は孤児で、薄汚れた裏道に住んでいた。
「また殺した」
少年はポツリと呟き、立ち止まって近くの壁にもたれかかった。右手に握り締めたものは、一週間は食事に困らないほどの金。...影と鏡と光((タイトル仮①
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天使がいた。
天使の仕事は、死んだ人間の魂を回収すること。
戦争、殺人事件、交通事故・・・
この時代には、人間が死ぬ理由なんざ、吐き気がするほど転がっている。
その天使は、気まぐれにソラを飛んでいた。...捻くれ天使と自殺少女