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あれここは何処だろう。
――あ、ワカメの国だ。
そうだとすぐに分かった。何となくそんな気がしたのだ。
なぜそう思ったのか一瞬後には自分でも不思議に思った。
でも訳もなく確信を持った。
でもいつの間に来たんだろう。
あたりを見回してみる。
前に遠足できたときとはだいぶ印象が違う。
薄暗い。路地裏...ワカメの国 第四章 思い出す人 杉田亜紀子の物語page4
羽旨マボル
あ、私もだ。
机の木の模様が猫に見える。
目と目と口と…ああでも右の鼻の穴が足りない。
うーん惜しいな。
もう疲れちゃった。
子供だからって皆がみんな楽しいわけではない。
楽しい時には楽しいし、疲れている時は疲れている。
~全然、面白くない~
なんだかこの頃だめだ。
とにかくだめだ。...ワカメの国 第四章 思い出す人 杉田亜紀子の物語
羽旨マボル
もう頭の中が空っぽになってしまうくらいに歩いたときに、先生が言った。
「見えてきた!あれが港だよ」
私の左側を覆っていた背の高い雑草が、視界から消えたかと思うと、広がる海が現れた。
遠くに、白っぽい建物が見えた。
そこから、また少し歩いて、やっと港に着いた。
その白い建物は近くで見ると結構な大きさで...ワカメの国 第四章 思い出す人 杉田亜紀子の物語
羽旨マボル
私は元気な子どもだった。
外で遊ぶのが好きな方だった。
昼休みになれば外に鬼ごっこをしに行った。
友達もたくさんいた。
楽しくおしゃべりをした。
でも、そういうのは4年生になる頃には何となく無くなっていった。
かなり楽しかった過去とだんだんと私は違う領域へと踏み込み始めていた。
好きだったことが好...ワカメの国 第四章 思い出す人 杉田亜紀子の物語
羽旨マボル