タグ「がくっぽいど」のついた投稿作品一覧(7)
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「廻子おねえちゃんも、歌うって!!」
音を立てて、扉が開かれて、楽歩よりも、先に、鈴の声が、響き渡った。鈴の斜め後ろには、廻子が、どこか、ためらいつつも、何か、決意したような顔で、佇んでいた。
「ありがとう。鈴。だが、もう、上限の月だ。お前たちの用を聞こう」
楽歩は、そんな二人を見て、微笑んで、...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十六
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「お前たちと、歌舞を興じるのは、本当に、楽しいな。この一瞬、一瞬が、私の論理を証明してくれている気がする」
ひとしきり、歌い続けた頃、楽歩が、頷きながら、口を開いた。
「楽歩の論理って?」
「それって……あれか? 確か、音楽を極めることこそが、文武を両立させる、一番の近道とかっての……?」
蓮は...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十五
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「私は、先ほど、引いた、この“桔梗”で歌おう」
「うん……あ! 楽歩って、桔梗みたい」
楽歩の言葉に頷いて、そのまま、楽歩を見つめてから、鈴はそう言った。
「そう思うか?」
「うん。髪の色と同じだし、衣の色とも同じ。物静かで、品のある感じも、楽歩と同じ」
「そう。同じだな」
ニコニコと微笑んだ鈴...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十四
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「次は、蓮。お前が引くと良い」
蓮は、気のない仕草で、影鏡の前に立った。そして、そこに、ゆっくりと、手を伸ばす。水の中に、手を入れたような感覚の後、手に、何かが触れた。思ったよりも、柔らかい気すらもする、それは、チカチカと、瞬いているような気がした。その瞬きに、促されるように、蓮は、それをしっかり...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十三
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「廻子お姉ちゃん。忙しいんだね」
廻子の出て行った扉を、淋しそうに、見やりながら、鈴が呟いた。
「だから、楽歩も、一人で、歌を作らないといけないのかぁ……つ……ねぇ。他には、何をしているの?」
鈴が、慌てたように、言い直した。きっと、“つまらないねぇ”と言いそうになったのだろう。蓮は、ちらりと、...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十ニ
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「よく来たな。私が、音楽を追及する男、神威楽歩だ」
足音すらも、重々しく響く、長い廊下を、しばらく歩いて、やっと、辿り着いた、やはり、美しいけれど、厳(いかめ)しくて、奇妙な扉の向こうの広い居室(いむろ)で、椅子に腰掛け、彼らを待ち構えていた男が、そう言った。
「はじめまして。私は、鈴」
「俺は、...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十一
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「鈴!! 大丈夫か!?」
背後から、鈴を狙おうとした魔物を、剣でなぎ払って、蓮は叫んだ。
「ありがとう! 大丈夫!!」
鈴が、舞いながら、扇で、風を操って、数匹の魔物を払いのけた。
「それにしても、何なんだよ、こいつらは」
「うん。話が通じなくて、哀しいね」
夥(おびただ)しい数の、それこそ、...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十