黒宮杳騏の投稿作品一覧
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A
くるくる
細い螺旋の小路
ゆっくりと降りてくる
途切れずに続く
A
くるくる
赤い林檎の皮は
ゆっくりと剥かれていく
途切れずに続く...満月小路
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1A
満月の腹から逃げてゆく
林檎のうさぎ達
1A
満月の体は細くなる
飛び出すうさぎ達
1S
一匹残らず居なくなって
満月も消えた
2A...新月の夜食
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1A
一般人に紛れてるけど
本当は歪んでるんだ
真実を知ったら皆いなくなっちゃうから
僕は黙って心を閉ざして
軋む音がしそうなほど無理矢理に口角上げて
ぶんぶん頭振ってぎこちなく相槌打って笑う
1B
だから僕の事を知ろうとしないで
僕の心に踏み込んで来ないで...ブランケット
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1A
いつから歩いてたんだろう
振り返った足跡は遠くて
知らない誰かの足跡みたい
1S
誰かの未来が僕の望む未来なら
分かれ道も怖くない
だけど夢を知らない僕は
僕はどこに転がっていけばいい?
2A...夢
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1A
楽しいとか嬉しいとか
そんな気持ちはご無沙汰ローテンション
誰か慰めてくれないかな
引き籠もりのアイデンティティ
昼夜逆転 「時計?なにそれおいしいの?」
1B
ダウナー 落ちる音楽聞いて
縦ノリで自傷に没頭
証拠隠滅なんてとっくに諦めて...ラピッド・サイクラー
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1A
「信じるだけ無駄」なんだって
僕に笑いかけた君はさ
長かった髪を切られても
動じなかったね
1B
それは立派な傷害罪
誰も助けてくれないなら
君の短くなった髪へと
花を飾ろう...鏡合わせのパズル
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1A
ねぇ ちょっと、そこ行くオジサマ
これからあたしと小洒落たカフェに
腕でも組んで歩きませんこと?
1B
こんなにも良いお天気ですもの
日傘を回して お散歩しません?
1S
それはきっと素敵な時間
雲一つない青空に...通りすがりランデヴー
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1A
こんな夜は誰かの声を聞きたくなる
真夜中の1時半
みんな寝てるかな
嫌われたくなくて
結局 私ひとり
ベッドに小さくうずくまる
1B
親指を咥えて眠る赤ん坊の様に
不安で押し潰されそうになる...夜
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1A
この線路は死後の国には繋がっていないから
半分以上の確率で僕は何処にも逝けない
ただ落ちて何かを失くして
振り返った自分の影に足りない部分を見つけるのは怖いよな
そんな事に気付いて
僕はまた探す
2A
その瓶には死後の青さが詰まっていないから
半分以上の確率で僕は何処にも逝けない...片道切符45
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1A
汚い死体になりたいな
なるべく汚く死にたいな
それが私の復讐だから
1A
葬儀屋さんも困るほど
取り繕えないくらいにさ
だって私の復讐だから
1S
行方不明の私はきっと...復讐シタイ
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1A
17)切り刻んだ哀しみが滲み出して
11)両腕から溢れ落ち
15)点々と染みた真っ赤な足跡
13)着物を汚して黒になる
5)夢の外
1A
16)脳内に響く沢山の声が
11)誰かの名前を呼んで
16)聞き取れない言葉で喚いている...比良坂童子
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1A
そっと首締めた明け方
赤黒いチアノーゼ
気色悪くて手を離す
その感情を忘れないよ
1A
すっと引き抜いた包丁
振り下ろす幻想
悲鳴が煩くて消えた
その感覚に思いを馳せる...幻想殺人
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1A
殺るならば確実に
死ぬのなら正確に
頸動脈を断ち切って
噴き出す赤が綺麗だね
1B
押さえた指の隙間から
溢れ溢れて流れ出る
生温い命は削れてく
1S...Kill or Die
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1A
憎いあの人の不幸願う
それは自然な事でしょう
無様に転げ落ちる姿を
滑稽だと笑いましょう
1B
夢じゃ物足りませんか
脳内にある殺人現場
現実にしてしまったなら
人生全て終わりでしょう...Distortion Night
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1A
明け方に漂う
甘い金木犀の香り
金色の花盛り
遠い始発電車の残響
1B
これから終わる命へ
最後の餞(はなむけ)
1C
バスルームに座り込み...金木犀
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1A
雲ひとつない冬の空
肉厚な花弁は冷たく
落ちる時を待つばかり
1B
潔く最後を迎える
儚くも美しい姿に
私もああなりたいと思う
1S
絡みついた他人の糸が...冬の花弁
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1A
扇情的な視線で見渡す
その指先は何を弄ぶ?
駆け引きも狡くしなだれて
甘く漂う酒と花の香り
1B
深めのスリットから覗く
白く柔い太腿に
触れたいのに触れられず
気高く卑猥な素肌...スキャンダラス・ベイベー
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1A
「退屈だな」って放り投げた
ディスプレイには笑顔の君
選択肢もパラメーターもクリアして
フラグ立てたあとはエンディングまで
惰性で一直線
1B
まばたきして ウインクして
「好きだよ」って動く唇
なのになんで心動かされないの?...Game
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1
干(ひ)き潮が悲しみを連れ去って
淋し気にさざめく波も もう君の足を濡らせない
頬に残る痛みの跡さえ
伏せた瞳の赤みと共に消えていく
君は顔を上げて星々を見つめる
次の一歩を踏み出す為に
2
満ち潮が喜びを運び込み
穏やかにさざめく波は今 君の胸を満たしていく...La luna piena
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1A
深夜に戯れついて
いつの間にか
指先で溶けたチョコレート
あなたの唇に塗ってみたい
ぺろりと舐める仕草は
悪戯に切なく疼く獣
1B
熱く揺れる胸の奥まで
抱き締めるように口付けて...獣の鍵
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1A
それはあまりにも大それた夢で
目覚めた僕は 二度寝した
君が恋人で 手をつないで歩く
信じられずに 寝坊した
1B
喉の奥に何かがつかえているような
甘くはないけど切ない片思い
1S
どうして君を好きになったかなんて...溺れる
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1A
言葉が出てこないんだ
君に逢う為に生まれてきたのに
ちょっとくらいズルしたっていいじゃん
ねぇ神様
1B
何とか出逢うまでは漕ぎ着けたけど
そこから先の予定は白紙
1S
さあ行こう...恋愛メルト
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1A
わたしはいつもあなたに心壊され生きてきた
無残に絡まったまま 関係は続いてる
1A
わたしの存在さえも否定したあの日の言葉
黒にもなれずに暗い灰色で塗り潰されてく
1B
あなたは哀しい輪廻断ち切れないまま
わたしという人形の首を絞めている
1S...悲劇
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1A
沈黙が精神を蝕んでいく
会話なんてなくたって
この閉鎖空間は存在し続ける証明
何か事件が起きればいいのに
1B
ワイドショーで晒された僕の顔
もしも見たら同情してくれるの
1S
「大人しいヤツだった」と同級生...不穏
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1A
巡る望月 轍(わだち)を照らす
密やかに訪ねた数だけ
深くなる溝 車が揺れる
1A
手繰る襲(かさね)と焚かれた香が
狩衣(かりぎぬ)と重ねた数だけ
交ざり合う色 御簾(みす)から覗く
1B
宵の帳(とばり)を請うる溜息...逢瀬
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1A
好きだという言葉をぶつけ合うほど
その意味は擦り減っていくのに
愚かな僕らはそんな簡単な事も分からないまま
気付いた時には大暴落
「いつもそう、簡単に言うよね」って
その場しのぎの嘘みたいな凶器になってた
1B
図書館に通いつめて
代わりの言葉を辞書で探して...ノンフィクション・キス
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1A
早く僕の前から消えてくれないかな
君が視界に入り込むと
苛ついて仕方ないんだ
1B
友人は肩をすくめて「御愁傷様」と笑ったが
その真意は何なんだ
1S
まさかこれが?
あり得ないだろ...恋愛理想論
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1A
どうせ目には見えないなら
赤くなくたっていい
あなたとわたしをつなぐ糸
綱渡り出来ちゃうくらい
頑丈なのがいいな
1B
程よく張り詰めた 緊張感
バランス危うく 揺れてる 乙女心
1S...赤い糸
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1A
そんなに怖がらなくていい
君は君で 僕は僕 だけど
この先に何があるのかなんて
誰にも分からないから
つないでいられる今は
君の手を離したりしない
1B
2人で選んで歩いて
行ける未来(トコ)まで行こうよ...君と僕の未来まで
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1A
耳に馴染んだ笑い声も
電話越しのように濁る
不自然に俯く事も出来ず
揺れるコーヒーに映った
自分を両手で隠して
1B
白過ぎるカフェオレは君に似ていると思った
1S
ぐるぐると 隠していた言葉が胸で虚しく回る...夏の雨