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秒針は刻々と今日をすり減らす
窓から覗く太陽が首を傾げる
秒針は生真面目にまた一周する
俺を包むのは無機的なやわらかさ
この時計もいつか止まるだろう
この秒針はいつか止まるだろう
太陽は地球を飲み込むだろうが
その前に俺は此処から消えている
6時半に駅で待ち合わせ
7時頃から生命を取り入れ...刻む
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きみと出会った季節の海は
碧く輝いてきみを照らしてた
あれから幾度か月が満ちて欠け
海はすっかり鉛になった
冷たい海風きみをさらいそう
ねえ今なにを思ってる?
ぼくが恋したきみの瞳(め)が
幽かに海の滴(しずく)落とすから
きみの頬に今、そっと
触れるだけのくちづけをあげよう...きみと海
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ねえあなたって嘘が下手みたい
気づかないフリはしてあげるけど
陽だまりみたいなその声が
あなたの声が好きだったのに
「好きだよ」なんて言葉さえ
いつから鉄の響きになった?
奥が疼いてる求めてる
もうこれ以上垂れ流さないで…!
触れて撫でて塞いで突いて
ココに在るのは叶わぬ「恋」...我儘
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見慣れた銀杏の並木道
ふと懐かしい風が吹く
思い起こすのあの日の木枯らし
俯く私の背を押してくれた
振り向いて初めて判ったの
私こんなに歩いてきてた
未だ見ぬ貴方を待ってた16歲《sixteen》
恋の底まで墜ちたの17歳《seventeen》
暮れに暮れたら18時《eighteen》
月が覗いてた...24 -twenty four-
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まだ夢を見てるみたいだな
滲んだ視界に飛び込む日記
開けばそこには甘い文字列
引き裂く。確かに終わる音がした
まだ夢を見てたいみたいだな
滲んだ視界は歪んで消えて
アイツ好みの春色絨毯
千切れた文字たち踊ってるのかな?
かたく閉じた目蓋の裏に
浮かんでは消えてく煌めいた日々...Sweet Sweet Diary
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木の枝先から落ち葉が一枚、
また一枚と離れてく
生まれて何度も過ごす季節
初めて感じる右手の温もり
冷たく刺すような空気を融かして
息を混ぜ合うその刹那
やさしく触れてまだ離れないで
重ねた場所から愛が伝うよ
永遠…なんて誓えるほどの
自信もないような僕だけど...にぶんのいち
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急な話ね、「別れたい?」
あたしもしかして試されてる?
冷ややかな文字列飛び込んで
目の奥ツンと突き刺した
馬鹿な話よ、「疲れたの?」
あなた何かに怯えてる
ささやかなサインに応えたい
走り出す心抑えないで
流れだす愛を注ごうか、
ねえ重ねてよその熱いくちびるを...怖れないでいいんだよ
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やっと見つけた
あたしの愛したい人
ずっと恋して
あなたの愛をください
思えばあれもこれさえも
すべてが恋の高鳴りで
春待つ2月の灰色の中
確かに落ちていってたのね
縛りつけた鎖ほどいて
ひとり鼓動を確かめた...冬色恋模様
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ティラミス ティラミス
あたし満たして
Tirami su!Tirami su!
のぼらせて
ひと月ぶりのtempo dolce
押さえたココロ弾け飛ぶ
腕を伸ばして 絡ませて
視線ぶつかる、それが合図
例えば甘いcioccolata
舐め溶かしてくようなbacio...tiramisù
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「痛いよね…」
小さな私に言葉をかけた
あなたと過ごしたワンルーム
やたらと声が木霊して
微睡む間もなく醒めてゆく脳
フラッシュバックがまた襲う
あの日、あの雨打たれた時から
もう時計の針は動きやしなくて
"Cualquiera me socorre..."「誰か助けて…」
"Sale sangre...止まない雨に動かない時計
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ねえちょっと痛いじゃない、
噛まれた唇が悲鳴をあげる
また始まる傷つくだけの時間
この瞬間を待ってたなんて…
またあなただけがイって!
またそうやって背を向ける
また私を置いていくのね…
皺だらけのシーツ独り握りしめ
泣いて泣いて夜を明かす
どんなに痛いかあなたは知らない...resign
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「ゴメンね…」
もう聞き飽きたの
貴方の台詞もその声も
今の私には届かなくて
付いて離れて繰り返しては
勝手に傷を付けては泣くの
痛い痛いなんて どの口が言うのかな
開いた傷口 愛を垂れ流してる
「ウソだよ」だなんて
やめてよね...fade out