詩人は、迷宮都市に迷い込んだ。

大通りから外れた路地裏。
両側は民家の壁が連なり、
石畳の道は、永遠に続く。

勇んで、路地裏に入って、
勇んで、歩いて、
日が暮れて、恐ろしくなって、
それでも、道はずっと一筋で、
帰り道すら分からなくなって、
焦って、走って、
石畳の階段を駆け上って、
途端、夜空が飛び込んできた。

路地裏の奥の奥。
猫のぬけ道のような細路地を抜ける先に、
女神像が微笑む広場が現れた。
蛍が碧く飛んで、女神を祝福している。

詩人は、迷宮都市に、ため息をついた。
眺めるには茶色一色で面白くないのに、
巡るには、不可解すぎる。
大通りは、味気ないのに、
裏路地は心臓に悪い癖に心を掴んで離さない。

迷宮都市は嫌な町だと、詩人は悔しそうに思った。

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  • 非営利目的に限ります
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迷宮都市 ~表現と情景を楽しむ小説~

お久しぶりです。
ヘルケロです。

衝動がやってきました。

閲覧数:219

投稿日:2019/08/25 11:46:30

文字数:336文字

カテゴリ:小説

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