『山の夜』
一人 夜を思い
暖炉の前に座り込むと
批判も称賛も
遠い山の影に沈んでしまって
あとには暗い影だけが
ずっと寄り添っているのです
恥ずかしくなりつつも
じっと目を凝らすと
影は奥ゆかしくも
よちよちと じっと
その身を潜めるのでありました
愛しさと虚しさが
この身を貫き
抱きしめようと 手を伸ばすと
影は一歩 また一歩と
こちらが身を動かした分だけ
等分に きっちりと
離れてしまうのでした
私はただ 嗚呼と
声にもならない溜息をつくと
ほうっと息を吐き出し
また遠くを濡れた目で見つめるのでした
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