人は、どうしてある人の言葉だけを何度も思い出すのだろう。
夜空を見上げるたび、ブラックホールのことを考える。
姿は見えないのにその重力だけは確かに存在していて、近くを通る光や星さえ静かに引き寄せてしまう。
人も少し似ている。
大きな声を出す人でも、派手に輝く人でもなく、そばにいるだけで安心できる人。
何気ない一言なのに、何年経っても心の奥で響き続ける人。
そんな人には、目には映らない引力がある。
私も日々、人に何かを届ける仕事をしている。
数字を追い、反応を分析し、言葉を選び続ける毎日だ。
それでも最後に残るのは、アルゴリズムではなく誰かの心が少しだけ動いたという小さな事実だった。
届いた言葉は、すぐに返事が来なくてもいい。
宇宙を旅する光のように何年も先で誰かの背中を押しているかもしれない。
だから私は目立つことより、残ることを選びたい。
誰かの記憶の片隅で、ふとした夜に思い出される言葉を書きたい。
ブラックホールは光を飲み込むという。
けれど本当は、その周りにある星たちの軌道を変え新しい物語を生み出している存在なのかもしれない。
人を惹きつけるということは、自分を大きく見せることではなく誰かが安心して近づける重力を持つこと。
静かでもいい。
ゆっくりでもいい。
派手な輝きはなくても、その存在があるだけで誰かの進む方向を少しだけ変えられる人になれたなら
それはきっと、どんな数字よりも価値のある証なのだと思う。
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