【オリジナルマスター】 Kickass Fellows 第三話 【隆司編】

投稿日:2010/09/16 22:10:51 | 文字数:3,545文字 | 閲覧数:129 | カテゴリ:小説

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この回は、悠さんをいじめるターンだと信じて疑ってません。
あと、ルカさんがすごく良い子だっていうお話。
え、隆司?
……そんな人いましたっk(ry

負けてばかりな感じの悠さんは桜宮さんのところでぜひ!

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悠さんの生みの親、桜宮小春さんのページはこちらです~。
→ http://piapro.jp/haru_nemu_202

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オリジナルマスターで好き勝手した結果、なんとコラボのお誘いがあって2人でお話を書けることになりました。
コラボのお相手は、心に沁みるお話を書かれる、桜宮小春さんです。
桜宮さん宅と自分とこのVOCALOIDのマスターたちが暴れまわるので、苦手な方はブラウザバックプリーズ。
大丈夫という方は本編へどうぞ。

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たまたま次の日曜は2人とも予定が空いてるということで、その日に顔合わせということになった。
もちろん、俺の家に集合だ。

「あとは……連絡先ぐらいか」
「あ、じゃあメアド交換だな」

悠の言葉に頷きながら、手元に引き寄せたノートパソコンを開いた。
仕事用のアドレス帳を開いて、悠にアドレスを言ってもらいながら、タイピングする。
最後に名前を入力して悠のパソコンへ空メールを送ったところで、扉がカランと音を立てた。
どうやら、マスターが帰ってきたらしい。





Kickass Fellows
隆司編 第三話





「遅くなってごめんね、水沢くん……あれ?」

扉の方に視線を向けると、きょとんとした表情でマスターが立っていた。
その視線の方向には悠がいて、その悠は「こんにちは、マスター」と挨拶をしている。
マスターは、悠とその前に置いてあるカクテルを順に見た後、最後に俺に視線をやった。
このマスターにしては珍しく、少しばかり状況が飲み込めていないようだ。
だがしかし、さすがはマスターというところか。
小さく苦笑をこぼすと、それで全て察してくれたらしく、気を取り直して悠に向き直った。

「いらっしゃい、白瀬くん。今日は黒部さんや彼女さんは一緒じゃないんだね」
「なっ……そ、そりゃ俺だっていつも一緒にいるわけじゃないですよ」

いつになく、遊んでいる様子のマスター。
あえて悠の恋人の名前を言うことはせず、『彼女さん』と呼んだことから、それはうかがい知ることができた。
マスターにまで遊ばれているとは……。
少しばかり焦っている悠は、何とか声を荒げそうになるのをぐっと押さえ込んでいるらしかった。
ここで追い討ちをかけてもよかったのだが、店内の時計をちらりと見てそれはやめる。

「さて……マスター、会計お願いします。カルアミルク2杯分も一緒に」

ノートパソコンを持って立ち上がると、ガタンと悠が驚いたように立ち上がった。
マスターはマスターで、別にいいのに、と言い出しそうな苦笑を浮かべている。

「自分が注文した分ぐらい自分で払う」
「いや、話にのってくれた礼だ。気にしないでゆっくりしてろ」

有無を言わせない口調で言って、なかなか代金を受け取ろうとしないマスターに半ば無理矢理代金を手渡す。
コーヒーとカルアミルクの代金にしては随分多いが、それはいつも世話になっているお礼ということにしておこう。

「これからもお世話になるので、おつりは結構です」
「……わかったよ。ありがとう、水沢くん」

そのまま頭を下げて去ろうとする俺に、「え、おい、隆司!」と声がかけられた。
振り返ると、何か言いたげな悠の視線とぶつかる。
勝手に恩を着せるな、というところだろうか。
個人的には礼であって、特にそういった思いはないのだが。
これ以上何か言われる前に、俺は扉に手をかけつつ、不敵に笑って見せた。

「――企画の方、期待してるからな」
「おまっ……」

後ろで声がした気はしたが、聞く耳持たず、扉を閉める。
言葉を遮られた悠は、今頃ため息でもついているだろうか。
容易に想像できたその姿に小さく笑いながら、俺は家路についた。





誰もいない家は酷く殺風景なもので、電気を付けながら「ただいま」と言ってみるも、空気がその言葉を吸収するだけに終わった。
ルカは当然ながら仕事で家にはいない。
今回は新しいCMの撮影だそうだ。
調声は以前スタジオの方で向こうの好みに合わせたから、俺の力はもう必要ない。
正直なところ、CMの片隅とはいえ、自分が使っているハンドルネームが映っているのは妙な感覚だった。
本当は、俺らしい調声であいつに歌ってほしいと思っているのだが、他人に頼まれたものでは自由にできるはずもない。

冷蔵庫から水の入ったペットボトルを取り出して自室へ移動。
ノートパソコンをデスクに置き、機材を移動させる準備に入る。
あの時、悠には『俺の住所』と言ったが、実際に渡したのはこの家の住所ではない(いや、確かに『俺の家』ではあるのかもしれないが)。
あれは、親父が建てたライブハウスだ。
ライブハウスと言っても、今は俺やルカが使う程度の防音施設と化しているが。
向こうからこっちへと持ってきていた機材を、すぐ移動させられるようにまとめ、椅子を引いた。

「あとは……PV用の衣装、か」

ノートパソコンを開き、電源を入れながら顎に手をやる。
悠宅のメイコとリンを見るまでは何とも言えないが、何種類かデザインを考えておくべきだろうか。
どのみち今からデザインの仕事をしようと思っていたところだった俺は、デザイン画を入れたフォルダを呼び出した。
フォルダ内には、スキャナで取り込んだデザイン画が大量に残っている。
デザインはデザインでも、こっちはロゴのデザインだが。
ロゴに手を加える前に、本棚に立てかけているスケッチブックをノートパソコンの隣に広げる。
仕事の方も、企画の方も、これで準備万端だ。

「っしゃ、やるか」

指と指を絡めて前方に伸びをして、俺は左手にシャーペン、右手でパソコンを操作し始める。
頭の中に図形を浮かべ、ロゴの微調整。
いきなり描き込めそうにないものは、スケッチブックに形になるまで描いてからパソコンへ。
ものの数十分でロゴが仕上がり、スケッチブックを新しいページにめくった時、携帯電話が低い振動を足に伝えた。
そういえばポケットに入れっぱなしだったと思いながら、携帯を開く。
表示された名前は、巡音ルカ。

「おー、どうした?」
『マスター、夕飯なんですがあと数分だけ待っていただけますか?』

携帯電話から聞こえてきたそんな声に、思わず笑う。
本当にこいつには世話をかけるな、と思うのはこんな時だ。
ルカがいなくても料理ぐらいしていたが、時間はまちまちでバランスを考えていたとはいえ、今ほどではなかった。
本当に、良いやつだ。

『もう家のすぐそばなんですが、痺れを切らしていないかと思いまして』

それは冗談っぽい声だった。
おそらく、そんなことが言いたいわけではなかったのだろう。
極端に俺と話す時間がとれないせいで、寂しかった……というのが本当のところか。
わかっていながらも、ここはルカの冗談に付き合うことにする。

「お前から見た俺はそこまでガキか?」
『ふふ、そんなことは……あら、ついたようなので切りますね』

ああ、と返すと、通話が切れた。
携帯を閉じて、自分の手元にあるスケッチブックに向かう。
黒を基調として彼女らの色をアクセントとして使う、というのが誰でも考え付くところだろうか。
左手に持ったシャーペンをくるくると回し、思いついたものをスケッチブックに描いていく。
適当にあたりだけとって、自分がデザインを理解できる程度に、しかし乱雑に。
いくつか描いたところで、玄関の方から「ただいま戻りました」と声がした。

「おー、お疲れ」

動くことなく声だけ上げると、足音が徐々に近付いてきて扉が開いた。
振り返れば、苦笑しているルカの姿。

「またお仕事ですか?」
「いや、これはちょっとな……」

ルカは訝しんでいたが、俺が喋ることはないとわかっているようで、小さく息をつくだけに終わった。
楽しみはとっておいてやるに限る。

「――夕飯の準備をしてきますので、何も食べずに待っていてくださいね」

くすくすと笑うルカに、肩をすくめて「はいはい」と返事をしておく。
ルカが行ってしまったのを扉が閉まる音で確認して、パソコンのメールボックスを開いた。
新着メールが1件。
件名には、挨拶と名前が記されている。
内容は、VOCALOIDたちに企画のことを説明した、ということと、日曜には世話になる、というようなものだった。
いちいち丁寧な文言に、思わず笑いながら返信する。

「日曜までには……いくつかデザインを描かないとな」

気合を入れるように言ってシャーペンを持ち直した時、タイミングよく夕飯の準備を終えたルカが俺を呼びにきた。
出鼻をくじかれたような気分だが……まあ、急いてはことを仕損じるとか、腹が減っては戦ができぬとか言うしな。
今は大人しくルカの手料理を食べるとしよう。




思いついたことをマイペースに書いていけたらいいなぁと思っている暇人。



2012
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