私はネルに聞いた。
「あのね、ネル。」
「何?」
「聞きたい事があるの。」
「いいよ。言ってみて?」
「変だとは思わないでね。」
私は少し躊躇ってから
「此処は何処なの?
地球なの?」
ネルは驚きもせずに淡々と答えた。
「此処は地球でもなければ、太陽や月なんかでもない。
此処は、『人生を生きる事をやめた人』が来る場所。」
「人生をやめた?
じゃあ、私…。死んじゃったの!?」
「私の話を聞いて。
死んだわけじゃないわ。
生きたまま、形をとどめたままここに来たの。」
「で、此処はなんていう場所なの?」
「ここの名は、
『フラシオン』
聖地-フラシオン」
「フラシオン…。」
私はその名前が花の名前のように可愛く聞こえた。
「ねぇ。ハクねえ。」
「ん?何?」
「私にこんな事聴くって言う事は、帰りたいの?
現世に。」
ネルは哀しげな顔をした。
「…。」
私は何もいえなかった。
『Yes』と答えれば、ネルは悲しむだろう。
『No』と答えれば、私はずっと此処にいないといけなくなる。
今の私にはこう答えるしかなかった。
「分かんない。」
今の私には判断できない。
「そう。
でもいずれ帰りたく、現世が愛おしくなる。
そしたら、また私一人か。」
ネルは笑って答えた。
私には分かっている、その笑顔は偽者だと
その仮面の下は悲しみの表情なんどろうと
でも、私は
「大丈夫。私はネル、貴方から離れないわ。」
と言って笑った。
ネルは安堵の表情を示した。
私のこの言葉でネルは安堵している。
私は複雑な気持ちになった。
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