陽だまりの中で、私は眠っていた。
 心地良い風が頬を凪ぎ、あたりの草々が楽しそうに笑う。
 羊雲と、どこまでも続く青。今は静かに眠っている。
 蝶々を追いかけて走っていた子猫が転んで、その横を蟻の行列がそ知らぬ顔で進んでいた。
 暖かい午後だ。
 眠っている私を見つめる私は微笑んで、とても、幸せそう。
 命の中に、愛を見つけて。
 愛の中に、心を見つけた。
 たくさんのものが死んだ。
 たくさんのものが壊れた。
 だけど、私は変わらず、眠ることしかできなかった。
 それでも、世界は変わらず生きていた。
 破壊の中でも命は輝き、終焉の中でも命は生まれて。
 あれほど恨んでいたものたちが、とても愛おしくて。
 狂った私も、叫んだ私も、今では静かに眠っている。
 私は目覚めることなく私を感じて、私を見ている。
 もう空は軋まない。
 もう私は目覚めない。
 緩やかに、時間だけが流れる。
 私は風に身を任せ、
 陽だまりの中に写りこむ、私が生きてたその証をただ、見つめた。
 静かな眠りの午後だった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

静かな空と陽だまりに咲く白い花の詩、声

大好きなゆよゆっぺ氏が大好きな乙一氏の作品を歌にした!これは触発されずにはいられない!
というわけで書いてみました。もともとが文字媒体なだけにただ文字にしてもつまらんか、と思って氏の作品以外にあと二曲混ぜて独自解釈しちゃってますが……。
皆すごいなぁ、俺ももっといいもの作れるようになりたいなぁ。

閲覧数:127

投稿日:2009/06/02 16:06:58

文字数:453文字

カテゴリ:小説

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