「リリィさん、リリィさん」
「・・・ん」
「もうすぐ目的の駅ですよ」
キヨテルに肩を軽く叩かれる。
「ん、悪い寝てた」
「昨日は寝てないのですか?」
「なんか、寝つき悪くて」
とアタシが言うとキヨテルは首を傾げた。
「リリィさんが?珍しいですね。人一倍寝つきがよく、週に四回は寝坊してその内二回は遅刻ギリギリで学校に走ってくるリリィさんが?」
「なんでそんなこと知ってんだよ!今、あんた別の学校行ってるはずだろ!?」
喚くアタシをあざ笑うかのようにアイツは言った。
「世の中にはいろんな方法があるのですよ。リリィさん」
そう言って眼鏡を人差し指でくいっと上げた。
ーーーーーやっぱりアタシはこいつが嫌いだ。
アタシがなぜ嫌いなこいつと二人きりで出かけているのかという理由は二週間前にさかのぼる。
その日アタシは鏡音の家にいた。
「よっしゃ、あがり!」
「あーまたリリィちゃんの勝ちじゃん」
リンが悔しそうに言った。
「あははは、リンがババ抜き弱いから!」
「ぷー!レン!次こそは絶対勝つよ!!!!!」
「ああ。リンのためなら日の中水の中どこでだt」
「おいおい日光浴に水泳かよwwwwwww」
そう言いながらアタシは机に置いてあったジュースを飲んだ。それはもう勢いよく。
すると突然アタシの後ろに何かがぬっとあらわれた。そして、
「それではリリィさん、次は僕とババ抜きをしませんか」
と、耳元で囁いた!!!!
アタシはびっくりしすぎて口の中にあったジュースを吹き出してしまった。
「うわ、リリィちゃん汚い!」
「リリィお前、おれのリンを泣かせただけでなくこんなに汚すなんて見損なったぞ!」
「ち、ちが、ちがーーーう!アタシのせいじゃなくて、後ろの・・・後ろのおおおおおお」
そのときアタシは後ろの声の正体に気が付いてしまった。
「き、キヨテル!何でここに?」
「ルカさんからこちらに来ていると聞きましたので僕も一緒に遊ぼうかと思って」
「ルカああ」
文句を言おうと携帯を見たら、『ごめん。リリィ。先生に居場所教えちゃった(^_-)-☆』とメールが。
何が教えちゃった、だ。ルカには日ごろあんなにキヨテルの愚痴を言っているのに。
「で、リリィさん、僕とババ抜きするんですか、しないんですか?」
「あー、別にいいけど。それやったら帰れよ」
「はい。ただのババ抜きでは面白くありませんのでかけをしませんか」
「かけ?」
「はい。負けた人が先に上がった人の言うことをきく。どうです?」
アタシは少し考えた。負けたら、こいつの言うことをきくかもしれない。けれど、
「アタシの得意なババ抜きで勝負してくるとはいい度胸だなキヨテル!いいぜ、その勝負乗ってやるよ!」
「はい。絶対に僕が勝ちますからね」
ちなみにこいつは終始笑顔だった。
「あん時負けなかったらなー」
電車から降りて駅から歩く。
「まだあの時のこと言ってるんですか。いい加減諦めて今日は僕と過ごしてください」
アタシは頭一つ分上にあるこいつの顔を見た。
いつもより少し楽しそうな気がする。
アイツがあの時出したのは『次の休日を一緒に過ごすこと』
その時のアタシの絶望は語っても語り尽せない。
「なあ、結局今日はどこに行くんだよ?アタシ、知らないんだけど」
「・・・もうすぐ着きますから」
ー教えてくれてもいいじゃん。
「そういえばリリィさん。僕がリクエストした服を着てきてくれたんですね」
「・・・一応負けたからな」
「僕のお願いはショートパンツを履いてきてもらうことも入ってましたね」
そう服装までキヨテル指定なのだ。
「着きましたよ」
「え・・・」
「ここが僕が来たかったところです」
「・・・ここって遊園地!」
しかもアタシが前から来たかったところだ!
「リリィさんがここに来たがっていたなあと思いまして」
「は?何か言った?それよりはやく行こうぜ!あのジェットコースター乗りたい!!」
リリィは入口へと走り出した。
「はいはい。全く」
ーリリィさんはわがままなんだから・・・
キヨテルは入口に着いたリリィの手を握った。
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まままめ
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