こんにちは!鴨川宗平です。
どこまでも冷たい空気のなかで、静かに光を反射しているガラスの建物があります。そのなかに咲いている花たちは、赤や黄色といった色彩を持っていません。ただ、冷え切った水のように透明で、どこか遠い星の吐息を閉じ込めたような、透き通った青い花弁だけが静かに並んでいます。
音を作り出し、そこに命を吹き込むという営みは、この冷たい庭に一輪の花を植える作業にとてもよく似ている気がするのです。私たちが日々、四角い画面の前で指先を動かして形作っている旋律や言葉は、目には見えないけれど、触れるとひんやりとする不思議な体温を持っています。誰もが忙しく通り過ぎてしまう現実のなかで、その一瞬の冷たさに足を止め、耳を澄ます。そんな静かな時間を守るために、私たちは作品に向き合っています。
私はいつも、誰も触ろうとしない凍りついた色彩 of 奥にある美しさについて考えています。まばゆい世界よりも、すべての光を跳ね返して静かに沈んでいる青い世界のほうに、言葉にならない強い魅力を感じるのです。誰の耳にも届かないかすれた歌声や、名前のない切ない感情。それらが静かな旋律の波に乗ってゆっくりと動き出す瞬間、まるで時が止まったかのような深い安らぎが胸を満たします。
ここにあるのは、現実のどこにもない、私たちだけの静かな隠れ家です。誰かが残した冷たい歌声に、別の誰かが描いた儚い色を重ね、それを私が一コマずつ丁寧に繋いでいく。それぞれが抱える寂しさを混ぜ合わせ、冷たくて美しい夜明けを作り出していく感覚。その美しさに身を任せながら、私は何度も同じ時間を巻き戻し、もっとも美しい光が落ちる瞬間を探し続けます。
私たちが作るものは、いつか誰かの心の隅にひっそりと根を張り、そして音もなく溶けて消えていくのかもしれません。それでも、その一瞬の美しさを本物にするために、私は今日も冷たいキーボードを叩き、時間を一瞬ずつ切り刻んでいます。
すべての音が消え去った温室のなかで、次に生まれる冷たい歌の息遣いを待っている。その息遣いが届いたとき、閉ざされていた世界は再び、静かに回り始めます。
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