朧月夜に舞い落ちる花
ひらりひらりと 私を包み
薄氷(うすらい)は とうの昔に過ぎ
季節は移りゆく 私を置いて

去年(こぞ)の雪は まるで私の心のように残り
霞は私を誘うよう 朝日に煌めいて

花曇(はなぐもり)は霧と雨を連れ 私を濡らして
このまま花と濡れていたなら どれだけ良いだろうか
私の心を置いたままで 薄紅は色付いていくのだろう
春うららの昼下がりには 彼女らは美しく咲き誇る

そして 散ち際の潔さを 私の心に刻むのだろう
まるで 私を嘲るように 嗤うように 彼女らは散りゆく

まだまだ生きていたい
無様でも みっともなくとも いついつまでも どこまでも
まだまだ逝きたくはない
たった一つの願い事 どうか聞き届けて お願い 薄紅

彼岸に向かう私を 誰が 覚えていてくれるのか?
彼岸に向かう私は 何を 残せたのだろうか?

いつまでも生きていたい
私は 我儘なのか それとも傲慢なのか
「いつまでも」「どこまでも」と
願えば願うほどに 浅ましくなる 私の生き様

ひらり、はらりと舞い落ちるのは 薄紅色の花びらひとつ
その潔さを ひとひらでも分けて欲しいと願うも私
ひらり、はらりと舞い落ちていく 薄紅色の彼女たちには
それぞれの矜持 私には無く、私の欲している矜持

生きたい けれど 潔く――

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

「薄紅の矜持」

応募用の歌詞です。
敢えて桜という言葉は使わずに。

閲覧数:69

投稿日:2014/02/11 01:29:30

文字数:559文字

カテゴリ:歌詞

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