「ん・・・・」
ふすまから漏れる朝日のまぶしさで目を覚ました。
「凛・・・?」
さっきまで、いや、昨日抱きながら寝たはずの凛がいなかった。
『明朝には迎えにあがりますので』
楽歩の言葉を思い出した。
(そういや、そんな事言ってたな・・・)
凛の寝ていたところが、まだ暖かい。
俺は凛の寝ていたところに自分の身を委ねた。
凛が寝ていたところは暖かいはずなのに、俺には冷たく感じた。
それはきっと・・・
(凛・・・・)
凛が居なくなった事に対して、俺が寂しく思っているからだろう。
心の中に、ぽっかりと大きな穴が開いたようだった。
その後、俺はすっかり目が覚めて、城の廊下をふらふらと歩いていた。
「あれ・・・海斗様・・・?」
「美紅」
美紅が目をこすりながら眠そうにこちらへ向かってきた。
「おはようございます・・・・今朝は、お早いですね」
「ああ・・・たまたま早く目が覚めて」
「早起きは三文の得と言いますからね。損は無いですよ」
三文の得・・・・か。
「あ、美紅。凛はもう帰ったのか?」
いつも早起きの美紅なら、何か知っているかもしれない。
もし、凛を連れて行ったのが楽歩だとしたら、美紅に伝言を預けているだろう。
「え?居なかったのですか?私、凛様はてっきりまだ寝ているのかと思っていましたが」
「そうか」
黙って凛を連れていったって事か?
(いや、起こさないように気を遣ったのかも・・・)
「大変よ!!」
バンッ!と音がしたと思ったら、着くずれて息を獣のように荒くした芽衣子が深刻な顔で俺と美紅の前にいた。
「今朝は皆さんお早いですね・・・・」
「凛が、凛が!!」
美紅が言う前に、芽衣子が自分の頭をぐしゃぐしゃに掻いて叫んだ。
「凛?」
「凛が、誰かにさらわれた!!」
!?
「どういうことだよ!?」
状況を飲み込めない俺は、芽衣子の肩を激しく揺さぶった。
さらわれたって・・・どういうことだ!?
「さっき、くの一が城に上がりこんできてッ・・・あたしは最初、昨日来た麻奈か百合かと思ったんだけど、違う奴で・・・気がついたら廊下を歩いてた凛をさらっていったの・・・!!」
凛はあの時、廊下を歩いていたのか・・・!
「それで、凛様は何処へ・・・!?」
「分からない・・・確か、西の方へ行ったような気がする・・・」
芽衣子は床へ崩れ落ちていった。
「あたしがッ・・・・あたしがもう少し早く気づいていれば・・・!」
俺は芽衣子の肩を抱いた。
「お前のせいじゃない・・・・とにかく、早く凛を追いかけよう!」
「うん・・・・」
一瞬芽衣子を憎く思ったが、すぐにそんな感情は無くなった。
「待ってください!まず、楽歩さんに報告してからじゃないと・・・」
「あぁ、そうだな」
「でも、凛の城なんてどこにあるか分からないわよ!」
芽衣子は声を荒げて言った。
「大丈夫です。村の人に聞けば、なんとか分かるはず」
そう。
なぜなら凛は・・・
「そうね・・・早く行きましょ」
誰もそのことについて話さず、俺達は城を出た。
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