「忘れた方が良いよ」って言われてもさ
ポストイット剥がすようには無理だから
どうしたって「忘れた痕跡」が残ってる
まとわりついてこびりついて

大切にしていればいるほどに
剥がすのは忘れるのは難しくて
不器用に引き剥がしても中途半端
無残な小包のラベルみたいに

思い出を根付かせたかったんだよ
自分と一心同体になるくらい
私と君は違う人違う意識なの忘れて
もとの紙まで破いてく様が似合ってる

燃やしてしまいたいくせに
やっぱり自分が可愛いんだ


少し前まで他人事だったからさ
「すぐ忘れちゃえばいいよ」なんて
自分でも言ってたっけ全力ブーメラン
我が身に降りかかれば情けなく降伏

愛しく感じていればいたほどに
重さが増して脳裏に食い込んでくる
頭の中に君の形のクレーター幾つも
お月様もこんな気分なのかなぁ

思い出を拭き取りたかったんだよ
元の私に戻ってしまうくらいに
以前の自分なんて覚えてないのに
変わってくことも嬉しかった昔は

消し去ろうとする自分がいる
捨て去ろうとした事実は消えず


「どうにかしてよ」って何度でも
「バカみたいだよ」って幾度でも
声も気持ちも押し殺して泣くくらいしか
私にできることなんて無かった


あれから夢に見るようになった
体中にアザのような感触
調べなくてもなぜか分かった
私の心が浮き出てきてるんだって

笑って大好きって言い続けたかった
頷いてありがとうって言っていたかった
こんな気持ちになるために出会ったんじゃない
剥がれない削れない癒えない忘れない

カーペットのコロコロみたいにさ
少しキレイにすれば終わると思ってた
剥がして丸めてごみ箱にポイって
実際は関係無い周り巻き込んで

まるでタトゥーみたいに残って
魂の枷になる鎖になる


失敗した型抜きを思い出した
ヒビが入ってそれでおしまい
食べても食べても味はしない
ただ悔しくて泣いていた


下らない事みたいに忘れたいよ
しょうもない事みたいに気にも留めず
「そんな前のこと忘れたよ」って笑って
何もかも心が止まるのは嫌だから

ねぇ　ごみ箱はどこですか？