夜の静寂(しじま)は深く
深く あなたの嘘を攫(さら)ってゆく
僕はただ俯いて 言えずに飲み込んだ言葉を 毒にして
ざわつく葉のさざなみは高く
高く 僕の鼓動を急かしてゆく
あなたはただ立ち止まり 冷めた笑顔の仮面を 崩していって
ふと吐(つ)いた溜息 夜闇の底 沈んでいく
そこにひとひらの希望 残っているとも知らずに
ふたり 繋ぐ風は もう吹かない
遠く 記憶の空 見上げても
ほら、今 またひとつ
愛が流れた
別れの海へ 溶けていった
広がる足音は強く
強く あなたの心を踏み躙(にじ)ってゆく
ふたりただの他人同士 沈黙に寄り掛かること 慣れてしまって
ふと逸らした視線 過去の色 探している
そこにひとひらの愛 輝いているとも知らずに
あなた 紡ぐ声は もう聞けない
例え 今強く 抱き締めても
ああ、ほら またひとつ
涙流した
僕の胸元へ 散っていった
明日は昇らない
僕が見つけない限り
あなたが微笑まない限り
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