「沙希、おいっす!」
なんて古いギャグ……あんたいくつなのよ。
「まぁまぁ。そんなちっちゃいことは……」
言わせないわよ。それより何しに来たの?
「ん、沙希にお土産。」
そう言って、袋を引っ張り出してきた。
「沙希殿、おぬしもワルよのお。」
時代劇とドリフターズの見すぎよ。あんた。
その袋の中からさらに、箱を取り出した。
ちょっと、本気で賄賂とかそういうの出すんじゃないでしょうね。
もっとも、ミクは身内だから賄賂とは言わないんだろうけど……
「お金じゃないよ。でも、沙希が好きなもの。」
私が好きなもの?
なんだろう……
「じゃんじゃじゃあ~ん。」
ミクがその箱を開けると。
「あ、これって……」
箱の中には、あんこがまぶしてあるお餅が何個か入っていた。
するとその時。
(グウウゥゥ)
「あっ……」
「ほら、思った通り。沙希ったら朝ごはん食べずに出てっちゃったんだもん。それにしても、好物には敏感なお腹だね。」
「ひょっとしてそのために?」
「そうだよ。これから大変になるからね。頑張ってくれなきゃ。」
「ありがとう。じゃ、食べるけど……」
「じゃんじゃんどうぞ、ミクお手製だよ。」
一つ目に手をかけ、口に運んだ。
おいしい。
二つ目、三つ目……、四つ………………
「どうしたの沙希、なんかあったの?」
私は大粒の涙を流していた。
「ううん、大したことじゃないの。」
その後、さっきのことを話した。
「これからが大事なのに、そんなことしちゃって、怖くなっちゃって……。」
「そっか。その上、慣れないことが続くんだもんね。でも、大丈夫だよ。ミク、分かんないことのほうが多いけど、ミクの前だけに桜井総理じゃなくて、沙希を見せてくれればいいから。」
「うん……。」
私は正直言って、精神的に強いかといわれると自信がない。かなりの泣き虫だと思う。
今も、これだけの事で、何歳も年下のミクに泣きすがっちゃうのだもの。
それでも、これから一国の代表として頑張っていかなきゃいけない。
そんなときにミクがこの言葉を発してくれなければ、崩れたかもしれない。
この国がホントにダメになっていたかもしれない。
後になってから思ったことだけど。
いずれにせよ、なんだかんだ文句言いながらも、私がずっとミクといるのも、ミクが時々こういう姿を見せるからなのかもしれない。
これが良くも悪くも、ミクもこの国にかかわるきっかけになった。
「ありがとう、ミク。お腹も気持ちも満たされたわ。」
「そう?お役に立てて光栄であります。」
……やっぱりミク、古い映画たくさん見てるんじゃないの?
そんなことを考えていたら、扉をノックする音が。
「あ……、沙希、携帯出して。」
「あ、うん」
私が携帯を取り出すと、ミクはその液晶画面に飛び込んだ。
何度見ても日常的じゃない光景だけど……、これも科学の力なのかな?
「桜井代表、お時間です。」
「あ、はい。」
そう言って、私は部屋を出ようとした。
その時ふと。
「あ、あのそこまで堅苦しく話さなくていいですよ。もっとフレンドリーにお願いします。」
「は、はぁ……。」
お迎えの人を困惑させて私は国会で一番大きい場所。本会議場に向かった。
「さっきの飛び込み、水泳選手もびっくりだったでしょ?」
携帯越しにしゃべらないで。
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おにゅうさん&ピノキオPと聞いて。
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<配信リリース曲のアートワーク担当>
「Separate Orange ~約束の行方~」
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「Back To The Sunlight」
楽曲URL:https://piapro.jp/t/Vxc1
「雪にとける想い」
楽曲URL:http...参加作品リスト 2017年〜2021年
MVライフ
A
例えば お医者様 命拾って したり顔
わがまま 恥知らず 好きなこと言ってら
誰もが ヒーローと 八方美人 二時限目
手挙げた 答えます 好きなだけ言ってな
B
迷惑ですか そうですか
あなたが 望んだ お呼び出し
0点ですか そうですか
わざわざ 嫌味な 言い回し...先生、もういいです
かぜよみるいと
ストッパー掛かってるから
黙っとくけど
いややっぱり黙れないから
吐き出しちゃう
主人公にはなれない
ヒーローにはなれない
今日も暗闇の中で息してる
誰にも知られない様に 誰にも悟られない様に
ひっそりと ひっそりと
君は1億分の1にはなれない...ルインズ・バッドエンド
にこるそん
ゆれる街灯 篠突く雨
振れる感情 感覚のテレパス
迷子のふたりはコンタクト
ココロは 恋を知りました
タイトロープ ツギハギの制服
重度のディスコミュニケーション
眼光 赤色にキラキラ
ナニカが起こる胸騒ぎ
エイリアン わたしエイリアン
あなたの心を惑わせる...エイリアンエイリアン(歌詞)
ナユタン星人
A
べにを引いて 鏡の前
白く塗って 鎧のように
声に出した 言葉の中
どこに僕が いるのでしょうか
B
音に合わせて 足を揃えて
望まれた姿 演じるだけ
違うサイズで 足を痛めて
望まれた役を 演じるだけ...瞼に星
かぜよみるいと
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ご意見・ご感想
warashi
ご意見・ご感想
お久しぶりです!>▽<ノシ
久しぶりの新作、3話と4話連続で読ませていただきました!
いきなりの環境の変化に戸惑ったり不安になったりするのは当たり前ですよね。
しかもいきなり総理大臣だなんて…想像できないくらい怖いです。
ミクの些細な優しさはその中でも大きな癒しになってるように思いました。
経済破綻を起こした日本を今後どうやって盛り返していくか楽しみです!
面白いお話をありがとうございました!^^
2011/07/21 01:40:25
トレイン
こんばんは。
こちらこそ、夜遅くにコメントしていただきありがとうございます!
今回の話でのミクは、なんだかんだでやさしく先に接する役に回すことを考えていたので、
それをうまく伝えることができて良かったです。
また、続きを早めに完成させられるよう、頑張ります。
2011/07/21 22:06:26