天気輪の柱に昇って 星を眺めた夜
あの日の情景は今 遠く僕の心の中にある

上と下二つの星空 両手で抱き締めて
どこまでも僕らのものだと同じ夢を見ていた 

突然 海が裂け 空は燃え 地は鉄条網に奪われて
宇宙船は再びくだらない戦の道具になる
どうやらこの惑星(ほし)の命は もう長くないらしい
何人(なんぴと)も侵すまじと言われた青が消えていく

時を超え遺された 勇敢なるケードルの落胤(たね)たち
ミサイルで崩された宇宙への道を
もう一度切り拓こう

今宇宙(そら)駆ける流星になり 遠ざかる新未来を撃て
ガラクタに閉ざされた希望無き夜空を
分厚い雲の殻を翼で切り裂いて
暁をこの手に呼び込め

夢幻の青き地平追い 羽ばたけ青き宇宙飛行士(コスモナーフト)
古今のノアの意思を継ぐ鳥たちよ
地を蠢く罪に勇歌(いさみうた)を投げつけ
銃声の届かない虚空へ


コウモリの目を盗み 組まれるプログラム
回避軌道計算 戦う鎧の準備もできた

赤い火と優しい手が 星の瞳を塞いでも
名もなきこの恋煩いが冷めることはもうない

“親心”という暴虐 鳥を箱に閉じ込め
希望は絶望の捨て色と間違えた大人たち
どうやら僕らの命も けして長くないらしい
どうせいつか燃え尽きるのなら夢を見て死にたい!

舞い果てた歴戦の 猛禽の歌が僕らを呼ぶ
かぎろいを追いかけ旅立つんだ
息が詰まる前に

今燎原の空に産声(こえ)を上げ 潰えた新世界を拓け
エピメテウスの奪った継ぐべき明日を
喚く餓鬼の火を風で消し止めて
命の青を取り戻せ

地母神の束縛を振り切り 飛び立て猛き宇宙飛行士(コスモナーフト)
星の花嫁に恋した愚かな冒険野郎
若枝(わかえ)を咥えてシュムプレガスを超え
虚空に希望を蒔け


どんなに居心地良くても ゆりかごに安穏する子供などいないだろう
“少年老い易く学成り難し”、笑うツィオルコフスキー
地球の納屋の片隅で ホコリかぶった夢が動き出す時を待ってる
朽ち果てる前に 飛ばなきゃ さあ今心臓(エンジン)を回せ!


降り注ぐ燃える赤い雨 終焉 でも木は死なない
都合で希望を奪う親を僕らは許さない
聖夜の祝杯の準備ができたら
東に針路を取れ!

偽りの“神”を笑い飛ばし 堕天使の目を眩ませろ
ゴミ山から這い上がり夜鷹は舞う
己の命懸けて果てぬ光を追い
探すのさ 新たな創世を

今閉塞の檻より天を穿(うが)ち 舞い飛べ新世紀の勇士たちよ
塵の命に彗星を抱く宇宙飛行士(コスモナーフト)
明日を信じたらどこへも笑っていけるさ
だから今は暫し「さよなら(ダザーフトラ)、地球(ズィムリャー)」


飛んでいこうか たとえ
尽きる運命だとしても
己を恥じぬ命が 暗い空に光ったのなら
その灯(ひ)はきっとどんな星よりも綺麗だろう

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

蒼星コスモナーフト2261

――――200年後の、子供たちへ!

ちょっと気は早いけど4月12日の宇宙飛行記念日記念。今度は未来の話。文明が挫折した世界でも、私と同じように彼に憧れる者の話。

「コスモナーフト」とはロシアで訓練を受けた宇宙飛行士を指す言葉。アメリカやほかの国のことがないのは不公平だとか言われそうですが、そこは一番目の特権ということで。
ともかくガガーリン好きだ。もう何度目かわからないぐらい自分の詩のモチーフになってるなあ。

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投稿日:2013/07/28 22:28:35

文字数:1,165文字

カテゴリ:歌詞

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