皆が持つ1輪1輪
その花の名は
紫陽花と言う想い出の塊
こんなにも沢山の色とりどりの花は
みんなから愛された証
白い棺に眠る君
一人ずつが紫陽花を手向けていく
どの花も沢山の花びら付けて
その一枚一枚に想い出が詰まる
ほほを伝う涙拭えずに
突然の出来事に戸惑うも
様々な色の花の中で
君は美しく 目を閉じたままで
もう二度と目覚める事はない
紫陽花それは想い出の花
一人一人がそれぞれの心に持つ
どんな色の花が咲くかは
一会した人との真心色(まごころいろ)
何もできずにただ立っていた
何も考えられずに立っていた
ただ時が過ぎるのを呆然として
頭の中は空白で埋め尽くされていく
紫陽花それは想い出の花
一人一人が心に持つ
いろんな色のものがあるんだね、って
綺麗だね、って言って笑ってた君
鎌倉に紫陽花を見に行った
その美しさに一緒になってはしゃいだ
そんなついさっきの出来事なのに
なんで永遠にそこで想い出が途切れてしまうのか
紫陽花それは想い出の花
一人一人がそれぞれの心に持つ
沢山の人が持ってきたよ
君が無理矢理千切ったものを
僕はなかなか手向けられずに
紫陽花
自殺してしまった恋人。
それは紫陽花の咲き乱れる季節だった。
紫陽花は想い出の花。
一人一人、故人との想い出が異なるので、花びらの色がそれぞれ全く違う。
葬式の日に皆は彼女との想い出の紫陽花を持ってくる。
彼女と関わった人たちの花は色とりどりでそれはもう、美しい。
これからもどんどんいろんな色が加わっていくはずだった紫陽花を、彼女は命を絶つことで千切ってしまう。
彼女を知る人々はそれぞれ彼女との想い出の千切られた紫陽花を持って葬式に集まり、棺に紫陽花を手向けていく。
色とりどりの紫陽花に囲まれた彼女はとても美しい。
だが彼は自分の手に持つ紫陽花をなかなか手向けられずに、ただただ突然終わってしまった彼女との想い出に呆然とするのだった。

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