皇土(おうど)を蝕みゆく暗雲 雪の色
埋(うず)められた太陽が闇に泣いている
凍風(いてかぜ)に攫われた幼い肖像は
足跡を見失って震えていた

時計塔の針は一時を指して止まる
錆びついたままの振り子が胸に痛い
棘草(いらくさ)に覆われた 悲しきフェリスホイール
それでもまた繰り返したよ、愚かな人類は

史実(ブィリーナ)と預言が語る未来
“神様はもう世界を愛していない”
死の影を振り切り 進めリグビダートル
落日の二分前、血の色に燃える石塔を駆け上がれ

雷閃 取り戻せ ウラディミルの栄光を
リューリクの見た楽土に真の光を
太陽を食べる毒蛇(どくじゃ)の喉を引き裂き
再び日輪を吐き出させよう

黄昏 切り裂いて 君に会いに行くよ
逃げ去っていけ残酷な運命から
天軍のふりした石像(ゴーレム)に潰されて
眠りにつくのはまだ早いだろう?


箱庭の空は十字架の上で焼かれ
時間を止めた古き良きオールドデイズ
赤い防護服着た地獄の軍隊は
毒の息吐いて僕を嘲笑った

“やめておけ どうせみんなもうすぐ死ぬさ”
大人たちの声がまた後ろ髪を引く
陽炎で塗られた帝国の黄昏(ラグナロク)に
嗚呼、僕は愚か“大公”に背いたドブルイニャ

棺は破れまた竜が笑う
黒い水を飲んで同じ苦しみを知る
血反吐を吐きながら、それでも逢魔を狩り
霧を抜ける、“後生だよ” あと三マイルだけ、待っていてくれないか

緑雷 そのとき 太陽が震え爆ぜる
プロメテウスの凍土に虹色が走る
間違えた未来を一つずつ撃ち殺し
本当の明日へと向かうのさ

泡沫(うたかた) 弾けて それでもただ前を向け
裂けた地よ涙ごと昨日を呑み込め
黒星(ネメシス)の囁きに心を囚われて
生きることをどうか諦めないで


約束だよ、この戦いが終わったら
君に笑うことを教えよう
百年千年先まで、愛される勇士になれるように

オレンジの空が夜に染まっていく
震える君を抱いて、“怖くないよ”繰り返した
戸を叩く軍隊、落ちる夕日 君が夜を恐れるなら
僕は黄昏の隙間に幸せの光を掲げよう

みどり萌え出でる春の日の色を


招雷 屠龍 偽りの神を撃ち抜け
新しい明日を築くための破戒へ
二度と魔に喰われぬほど熱くなるまで
僕は太陽を覆う暈になろう

緑鮮 僕は異色の青き陽炎
絶望と怠惰のセピアに燃ゆ瑞光
あるべき物語の輪へ二人で戻るため
今塔を駆け上がり君に会いにゆく

春暁 輝くよ 旭日の円環が
永久(とわ)の緑よ林檎の枝に宿れ
悲しいことも、痛みもすべて
僕が受け止めてあげる 君が強くなるまで

動き出す古時計が終末を巻き戻す
導くべき明日のノアが産声を上げた
影を飲み込み 最後の最後まで笑っていること
それが“善良なる大光の騎士(ドブルイニャ)”に課された役目

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

緑陽の町のドブルイニャ -Twilight eyes-

――――君は光 僕は影 あるいは黄昏と夜の隙間に走る一瞬の陽炎

前作「IriЯa」と対をなす物語。イリヤを助けに来た「トモダチ」側の視点。今度のモデルは「ドブルイニャ・ニキーティチ」。イリヤ・ムーロメツの一番の親友、とか。

副題にある通り、「トワイライトアイズ」の再解釈版でもあります。と言ってもだいぶ民話と史実に浸食されて趣が違ってしまいましたが・・・。

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投稿日:2013/07/28 22:24:32

文字数:1,159文字

カテゴリ:歌詞

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