私は、このところ、奇妙な夢を見続けている。

 最初の年代は、私の年代。ときどき行く、イベント会場内。知り合いと、会うたびに少し話をしたり、行動を共にするものをふやしたりしながら、私は、少し早目にと、更衣室へと向かう途中、
「あっ。」
そう親したしいわけでもないが、まあ、学校も同じで、知っている子に出会った。

何故かはわからないけれど、場面はそこで変わる。
私とその子は、古臭い駅にいた。
周りも、私達のいた年代では絶対にあり得ない、古い古い建物ばかり。
「あなたは、私を真実理解しているわけではないのでしょう。」
彼女は、そういって、悲しそうに、さびしそうに、哂う。
私は、そんなことはない、とでもいったのか、なんなのかはわからないけれど、何かを言っていた。でも、私には、私が何を言ったのかはわからない。そこだけ、聴覚を失ったかのように、いえ、正確にいえば、私が言葉を発した時に限って、聴覚を失ったかのように、音が全く聞こえなくなるのだ。わかるのは、彼女の表情だけ。
「これに、判を押して。」
とりあえず、とでもいうように、表と裏がオレンジ、いや、この時代であるのならば、おそらく、橙、というのであろう。そんな、うすい、端を閉じた文書を、目の前に差し出された。
えっと、何、なんだろう。私、という人格は、そう思っているというのに、“私”は、勝手に、判を押す。そして、一枚めくったところにも、勝手に、何かを書き込んでいく。それもまた、もやがかかったように、私には、見えない。
「つぎは、これを見ながら、書けるのならば、書いてみて。」
出てきたのは、木の箱。そして、その中から出てきたのは、黒い石?だろうか、鉄?だろうか、そういった板に、経のほられた二枚の板。そして、わたされたのは、筆。

 それを、書いている途中、どこかのおっさんが乗り込んできた。
そして、彼女を殴ろうとする。彼女は、近くの、走り出そうとする列車に飛び乗り、こう、叫んだ。
「約束の時間は、守ってよ。約束、なんだからね。私との、大切な約束なんだから。」
と。

「とうとう、あの子は、逃げようとしているのか。まあ、あの父親じゃな。仕方ないだろうよ。その道を選ぶのも。」
「かわいそうだものね、あのままでは。」
「少年、急げよ。頑張れ。」
少年、“私”は、男、なのか。
そう、私が考える間にも、“私”は、その、経を書きあげていく。
そして、“私”が、次に来た列車へと走っていく、そこで、私の夢は、今、止まっている。

その後、私が続きを見たのだけれど。
それについては、あまりにも、悲しい物語であったがゆえに、語ることは、やめておこうと思う。

ただ、これだけは、書いておこう。
人の思いは、強すぎるがゆえに、破たんを迎えることがあるのだということを。

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夢、前世?謎。

オリジナルです。pixivにも投稿しましたが、投稿。

閲覧数:86

投稿日:2010/11/17 10:13:14

文字数:1,162文字

カテゴリ:小説

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