警告:閲覧注意

何度目か分かりませんが。
これまでとは想像を絶する気持ち悪さを誇る文章になっています。
というか犯罪的文章になっているような気もするので、閲覧時は十分に注意してください。
食事前は如何なる理由があろうとうも閲覧禁止です。
その他、気の弱い方、年齢の若い方
絶対見てはいけません。




悪食娘コンチータ 第二章 コンチータの館(パート11)

 もう、嫌だ。
 飢えの苦しみから解放されたいという一心でレヴィンに言われるままにバニカに仕えることになったシオンは、一週間も経過するころには精神的な疲労の為に、頬骨が浮き出すほどにやつれ始めていた。皮肉なことに、折角の食事を採ろうとしても、そのたびにバニカの悪食ぶりがフラッシュバックし、詰め込んだ食材を記憶ともども、ことごとく吐き出してしまうせいだった。初日の調理は見ての通り、汚物のソースと文字通りの鶏の丸煮。だが、二日目もそれと同等か、それ以上の食材をバニカから求められたのである。
 二日目はもっと脳髄を味わいたいと言って、用意した牛の頭部の頭骨から全て噛み砕いた。ボリュームがあって、食べ応えがあったそうだ。
 三日目はその牛の心臓部を生のままで食した。こりこりとして美味しいらしい。
 四日目は調理した量が少なかったのか、気付いたころには庭に出て、地面にうずくまって虫を捕らえるたびにそのまま口に放りこんでいた。ぷちぷちとした食感が絶妙らしい。
 五日目は偶然捕らえた蝮をそのまま、毒袋も含めて平らげた。痺れる感覚が癖になりそうだという。
 そして昨日、六日目はもっと美味しい脳髄が食べたいと言う。やむなく山猿を一匹捕らえて、調理せずにそのまま出した。きぃきぃと喚く猿の頭頂部をハンティングナイフで切り取ると、スプーンでとろりと淡い脳漿を掬い取って口に含んでいた。だんだんと声が小さくなって痙攣を始める猿とは異なり、バニカは甘い味がすると楽しそうに食べていた。知能が高い動物の方が美味しいらしい、とはバニカの推測である。
 そして、今日。
 「コンチータ様、そろそろ、お暇をもらえませんか。」
 何の料理も用意せずに食堂へと訪れたシオンは、疲労しきった表情を隠さないままでそう言った。これ以上この場所で生活していれば、飢えるよりも前に精神を侵されてしまう。そう考えたのである。
 「そう。好きにすればいいわ。」
 ぎ、と表情を強めながら、バニカはシオンに向かってそう言った。その言葉に僅かな恐怖を覚えながらもシオンは漸く礼をして、何も言わずにバニカから背を向けると、足早に歩き出した。その途中、殺意に満ちた瞳でレヴィンが見つめていることに気付きながらも、それを無視してシオンは食堂から立ち去ってゆく。
 「申し訳ございません、コンチータ様。」
 シオンの姿が消えると、レヴィンは最敬礼を取りながらそう言った。
 「全く、使えぬ奴らばかりね。」
 「おっしゃるとおり。ですがコンチータ様、私に一つ、ご提案があります。」
 その言葉に、バニカは興味を抱いた様子でぴくり、と瞳を動かした。
 「一体、どんな提案なのかしら。」
 「単純です。裏切り者には、報いを受けていただきましょう。」
 レヴィンはそう言って、にやり、と不敵な笑みを漏らした。

 バニカから預かったハンティングナイフを片手に、レヴィンが向かった場所は館の厨房であった。もう日も暮れたこの時刻、手にした蝋燭の明かりだけを頼りにレヴィンが厨房へと訪れると、予想通り、帰り支度に勤しむシオンの姿がレヴィンの視界に入った。
 「ああ、レヴィンか。」
 心なしか気の晴れた口調で、シオンはそう言った。その様子を、レヴィンは怒りに肩を震わせながら眺める。ああ、おかしくなりそうだ。僕がこんな下衆を料理人に仕立て上げたことが間違いだった。そうだ。この男はコンチータ様を裏切った。犯罪者だ、裏切り者だ。そう、裏切り者には。
 「お前も早く、辞めたほうが良いと思うぞ。」
 それはシオンが放った最後の、そして最大の失言であった。瞬時にレヴィンの血流が沸騰する。ぞわり、と震える身体を押さえきれないように、わなわなと震える唇をレヴィンは開いた。
 「裏切り者には、死を。」
 レヴィンは小さく、そう言った。そのまま、飛ぶ。驚愕に満ちたシオンの表情がレヴィンの視界に映る。ああ、苦しめば良い。精々、苦しんで、苦しんで、コンチータ様を裏切ったことを深海よりも深く後悔しながら死ねばいい。でも、一つだけ、哀れな君に贖罪を行うチャンスをあげよう。本当なら、貴様のような男がコンチータ様のお役に立てるはずもないんだ。感謝すると良い。君は後一つ、コンチータ様のお役に立てる。
 「だから、死ね。」
 しなやかに伸びたレヴィンの右手に握られたハンティングナイフが、蝋燭の明かりに一際強く輝く。そのまま、レヴィンはそれをシオンの胸に目掛けて真っ直ぐに突き刺した。ぶすり、という音が鼓膜を揺らす。シオンがもがく、レヴィンを引き離そうと、その細い肩を掴もうとあがく。それよりも前に、レヴィンのナイフが更に深くへとのめり込んだ。つん、とした反動がナイフにはねる。鼓動の反発だ、とレヴィンは感じながら、もう一度ナイフに込める力を強めた。
 心臓は、こりこりしていて美味しいわ。
 バニカの言葉を反芻しながら、レヴィンはぐい、とナイフをシオンの身体へとのめり込ませた。僅かな抵抗をしていた圧力が破れる。噴水のように噴き出す血流がレヴィンの身体を染め上げてゆく。ああ、この血はコンチータ様に召し上がっていただきたい。レヴィンはそう考えながら、心臓を突き破ったナイフを無造作に引き抜いた。どう、と仰向けに倒れるシオンの姿を見下しながら、レヴィンは哂う。
 「ああ、血液が無くなる前に、ワイン瓶に移しておかないと。」

 「遅くなりまして申し訳ございません、コンチータ様。只今お料理をお持ち致しました。」
 レヴィンがそう言って食堂へと戻ってきたのはそれから半時間程度が経過した頃であった。そのレヴィンの姿を見て、バニカはにたり、とした笑みを浮かべる。
 「あら、良かったわ。お夕食がお皿だけなんて、流石に味気ないもの。」
 そう言ってバニカがレヴィンに見せたものは、まるで切り取ったピザのように四分の一だけ残された白磁の皿であった。先ほどから、形ばかり置いてあったものである。
 「それは、失礼致しました。」
 とうとう皿まで喰らったのか、ということに軽い衝撃を受けながら、レヴィンはそう答えた。だが内心は表情に出さずに、丁寧な手つきで、クロッシュを被せた皿をバニカの目の前に差し出す。
 「どうぞ、コンチータ様。」
 その中から現れたものは人の頭部。そう、先ほど殺したばかりの、シオンの頭部であった。食べ易いようにと髪は全て剃り終えて、首もとに付け合せのサラダ代わりに配置している。その姿を見て、瞳をしかめたのはリリスだけ。レヴィンは勿論、バニカもまた狂喜するようにその瞳を輝かせた。
 「何という食材・・!」
 既に感動しきり、という様子でバニカはそう言った。そのバニカの手元に、シオンを刺殺したハンティングナイフとフォーク、それからスプーンを配置して、レヴィンはバニカに向かってこう言った。
 「お楽しみいただければ幸いです。何しろ殺したての一品ですから。」
 この料理には、髪をそり落とした以外になんら手を加えてはいない。折角の人間の脳漿、生で食すことが一番だろうと考えたのである。
 「素晴らしいわ、レヴィン!」
 恍惚の表情のままでバニカはそういうと、待ちきれない様子でハンティングナイフを手に取った。その隙に、レヴィンがバニカのワイングラスを真っ赤なワインで、いや、真っ赤なシオンの血液で満たしてゆく。
 さくり、とハンティングナイフがシオンの頭蓋に当てられた。もう血液は一通り抜け切っているものか、噴き出す血液は微量に過ぎない。どうやって食べようか、とバニカは僅かに思案するように首を傾げたものの、頭部を円形に切り裂いて脳漿を露にする手法を考えたらしい。ごりごりと頭蓋の一部を円形に切り裂いて、フォークを添えて円形に切り取った頭頂部を皮膚と肉、そして頭蓋ごと持ち上げた。その中には、まだ引きつるように痙攣している、薄いピンク色をした脳が待ち構えていた。
 「おいしそう。」
 バニカはそう言うと、スプーンを片手に掴んで、思い切り脳内へスプーンを突き刺した。海栗を掬い上げるような動作をしながらバニカは滴るような新鮮な脳漿を一口、掬い上げる。そのまま口に含んで、バニカは堪能するように舌の上で転がした。くぅ、と自然に漏れた溜息を吐き出しながら、バニカは叫ぶ。
 「ああ、最高!そう、漸く見つけた、これが最高の美食だわ!」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

小説版 悪食娘コンチータ 第二章(パート11)

みのり「第十一弾ですが。ああああああ!」
満「みのり、しっかりしろ。」
みのり「もう無理!なんか頭がむずむずするよ!」
満「俺もだ。。。これもちょいと続くぞ。」
みのり「もういやぁ!ということで次回もどうぞ!」

閲覧数:399

投稿日:2011/10/30 19:22:51

文字数:3,617文字

カテゴリ:小説

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